P26. PDGF-bbはヒト歯肉由来線維芽細胞においてMMP-1産生を増強する

【目的】矯正治療中の歯周組織にはPDGF-bbやMMPsが産生することが報告されている. 血小板由来成長因子であるPDGF-bbの作用は線維芽細胞遊走促進などがあり, 細胞外マトリックス分解酵素であるMMP-1は歯肉の主成分であるコラーゲンIを分解し, 結合組織のリモデリングに関わると考えられる. MAPKファミリーの一つであるp38MAP kinaseはMMP-1産生に関わる分子として知られている. しかし, ヒト歯肉線維芽細胞におけるMMP-1産生とPDGF-bb刺激によるp38MAP kinaseのリン酸化の関係は, 未だ明らかではない. そこで, 今回, 矯正治療における歯周組織結合組...

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Published in日本再生歯科医学会誌 Vol. 9; no. 1; p. 67
Main Authors 川崎俊也, 合田征司, 竹内摂, 氏井庸介, 林寛, 小正玲子, 加藤侑, 林宏行, 山本一世, 池尾隆, 松本尚之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本再生歯科医学会 2011
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Summary:【目的】矯正治療中の歯周組織にはPDGF-bbやMMPsが産生することが報告されている. 血小板由来成長因子であるPDGF-bbの作用は線維芽細胞遊走促進などがあり, 細胞外マトリックス分解酵素であるMMP-1は歯肉の主成分であるコラーゲンIを分解し, 結合組織のリモデリングに関わると考えられる. MAPKファミリーの一つであるp38MAP kinaseはMMP-1産生に関わる分子として知られている. しかし, ヒト歯肉線維芽細胞におけるMMP-1産生とPDGF-bb刺激によるp38MAP kinaseのリン酸化の関係は, 未だ明らかではない. そこで, 今回, 矯正治療における歯周組織結合組織リモデリングの機序を解明するために, ヒト歯肉由来線維芽細胞を用いPDGF-bb刺激によるMMP-1の産生とp38MAP kinaseとの関係を検討した. 【資料および方法】本研究に参加同意を得た患者の歯肉(大阪歯科大学倫理員会の承認番号, 大歯医倫110326号)より歯肉組織を採取・培養し, 3~10世代目を本実験に使用した. PDGF-bb存在下で24時間培養後, 上清中のMMPsの発現をWestern Blotting, Gelatin zymographyで確認した. 【結果および考察】1)ヒト歯肉由来線維芽細胞においてMMP-1の産生はPDGF-bb濃度依存的に増強した. 一方, MMP-2の発現は認められたがPDGF-bbによる影響は見られなかった. 2)PDGF-bb刺激によるp38MAP kinaseのリン酸化は経時的に影響が認められた. 3)PDGF-bb刺激により増強したMMP-1の産生とp38MAP kinaseのリン酸化はSB203580により抑制された. 【結論】ヒト歯肉由来線維芽細胞においてPDGF-bb刺激によるMMP-1の産生経路には, p38MAP kinaseが関与していることが示唆された.
ISSN:1348-9615