5 後腹膜に原発し, 頭蓋内に転移したyolk sac tumorの一例

症例は28歳, 男性. 主訴は右半身麻痺.1997年夏頃より食欲不振あり,1998年1月,飯山日赤病院受診した.CTにて後腹膜,肝に腫瘍が認められた.肝生検施行し,seminomaと診断された.AFP(-),PLAP(+)で,3月3日長野市民病院入院となった.AFP,LDH高値,HCG-βは軽度高値で,後腹膜,肺,肝に腫瘍を認めた.PEP療法4クール施行し,胸部の腫瘍は消失し,腹部の腫瘍も縮小した.AFP,LDHも正常化した.その後当院泌尿器科紹介となり,7月18日partial hepatectomy+RPLNDを施行した.IVCの腫瘍はfibrous tissueに置換されていた.退院後,...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 50; no. 1; p. 74
Main Authors 黒崎修平, 塚原隆司, 和田裕千代, 三沢一道, 杵淵芳明, 篠原直宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 2000
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Summary:症例は28歳, 男性. 主訴は右半身麻痺.1997年夏頃より食欲不振あり,1998年1月,飯山日赤病院受診した.CTにて後腹膜,肝に腫瘍が認められた.肝生検施行し,seminomaと診断された.AFP(-),PLAP(+)で,3月3日長野市民病院入院となった.AFP,LDH高値,HCG-βは軽度高値で,後腹膜,肺,肝に腫瘍を認めた.PEP療法4クール施行し,胸部の腫瘍は消失し,腹部の腫瘍も縮小した.AFP,LDHも正常化した.その後当院泌尿器科紹介となり,7月18日partial hepatectomy+RPLNDを施行した.IVCの腫瘍はfibrous tissueに置換されていた.退院後,右片麻痺が生じ当科受診した.CTにて右前頭,頭頂葉に脳内出血とperifocal edemaを認めた.MRIにて同部は不規則にenhanceされ,転移性脳腫瘍,及び腫瘍内出血が疑われた.8月12日,脳腫瘍摘出術を行い,病理組織はyolk sac tumorであった.AFP(+),HCG(-),PLAP未染色であった.7月31日退院となり,長野市民病院泌尿器科転院となり,VIP療法3クール施行した.腹部,胸部の腫瘍の増大や頭蓋内の再発は認められなかったが,AFP,LDHは高値を示した.1999年2月,患者の希望により退院し,その後自宅で死亡した.病理解剖は施行されなかった.【考察】yolk sac tumorの脳転移例は,平均余命1.5-2.5ヶ月といわれているが,摘出手術,化学療法にて独歩可能となり,化学療法時以外は在宅にて生活でき,6ヶ月生存した.ADLの面からも,摘出手術は有効であったと考えられる.
ISSN:1343-2826