若い女性における大豆タンパク質非消化性画分の血清コレステロール低下作用

大豆タンパク質の非消化性高分子画分(HMF)の血清コレステロール低下作用は, ラットでは知られているがヒトでは明らかではない. 今回の二つの実験では, この点を明らかにせんとした. 血清コレステロールが高めの女子大学生を被験者とした. 実験1では, 総エネルギー摂取量の8%をカゼイン, 分離大豆タンパク質(SPI)あるいはHMFで与えた. 5種類の食事と軽食を, 順次繰り返し与えた. エネルギー摂取量と運動量が一定になるように努め, 体重を維持した. HMF群では, 低密度リポプロテインコレステロール(LDL-C)濃度の低下が, 他の2群よりも大きかった. 実験2では, 総エネルギー摂取量の4...

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Published in日本栄養・食糧学会誌 Vol. 48; no. 4; p. 325
Main Authors Ming-Fu Wang, 山本茂, Hei-Mei Chung, Shu-Ying Chung, 宮谷秀一, 森政博, 沖田卓雄, 菅野道廣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本栄養・食糧学会 1995
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ISSN0287-3516

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Summary:大豆タンパク質の非消化性高分子画分(HMF)の血清コレステロール低下作用は, ラットでは知られているがヒトでは明らかではない. 今回の二つの実験では, この点を明らかにせんとした. 血清コレステロールが高めの女子大学生を被験者とした. 実験1では, 総エネルギー摂取量の8%をカゼイン, 分離大豆タンパク質(SPI)あるいはHMFで与えた. 5種類の食事と軽食を, 順次繰り返し与えた. エネルギー摂取量と運動量が一定になるように努め, 体重を維持した. HMF群では, 低密度リポプロテインコレステロール(LDL-C)濃度の低下が, 他の2群よりも大きかった. 実験2では, 総エネルギー摂取量の4%を, カゼインあるいはHMFで1生理期間与えた. 卵黄2個(コレステロール含量約500mg)を含む5種類の食事と軽食を, 順次繰り返し与えた. エネルギー摂取量と運動量が一定になるように努め, 体重を維持した. カゼイン群に比べHMFでは, LDL-Cの低下と高密度リポプロテインコレステロールの増加が観察された. 便中酸性ステロイドの排泄は, HMF群でカゼイン群より高かった. 本結果は, ヒトにおいてもHMFが便中ステロイドの排泄を増加させ, 血清コレステロール値を改善することを確認したものである.
ISSN:0287-3516