7. On-Pump beating CABGの検討~JMS社製閉鎖チャンバー式人工心肺回路の使用経験

【はじめに】近年, バイパス手術における完全血行再建を目的としたon pump beating CABG(ONCAB)の有用性が報告されている. 当院も, 基本的にoff-pump CABGを行っているが, 症例によっては, 適宜, ONCABを適応している. 今回, JMS社製閉鎖チャンバー式人工心肺システム10症例に対し, 従来使用していたPCPSシステムを使用した症例およびOPCAB症例との比較検討を行ったので報告する. 【対象】単独CABGを受けた30例を対象とした. 閉鎖チャンバーシステムを使用した10症例(A群), 従来まで採用していたPCPSシステム10症例(B群), 同時期施行...

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Published in体外循環技術 Vol. 37; no. 4; pp. 461 - 462
Main Authors 光家努, 相原輝乃, 井上一也, 峠明香, 田井裕也, 別府政則, 森長慎治, 松本浩伸, 西村和修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 2010
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ISSN0912-2664

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Summary:【はじめに】近年, バイパス手術における完全血行再建を目的としたon pump beating CABG(ONCAB)の有用性が報告されている. 当院も, 基本的にoff-pump CABGを行っているが, 症例によっては, 適宜, ONCABを適応している. 今回, JMS社製閉鎖チャンバー式人工心肺システム10症例に対し, 従来使用していたPCPSシステムを使用した症例およびOPCAB症例との比較検討を行ったので報告する. 【対象】単独CABGを受けた30例を対象とした. 閉鎖チャンバーシステムを使用した10症例(A群), 従来まで採用していたPCPSシステム10症例(B群), 同時期施行の比較対象としてOPCAB10症例(C群)の3群を比較検討した. 【結果】術前の, 年齢, 身長, 体重, 術前Hct値は, 3群間に有意な差は認められなかったが, EFにおいては, A群:C群=48.8:65.4でA群のほうが有意に低かった. 術中データでは, 吻合数, 術中輸血量などには変わりなかった. また, A群では, 内膜切除術を10例中4症例に施行していたこともあり手術時間では他群よりも長かった. 術後データでは, 挿管時間でA群の方が長かったが, 帰室後24時間出血量, 輸血量, ICU滞在期間では, 有意な差は認められなかった. 【考察】A群では, 術前EF低下症例や透析患者症例が多く含まれており, 単純には比較することはできないが, 本システムは, 簡便に脱血ができ, 広い視野が得られるため, 心拡大を伴う重症心不全症例に対しては有用であると考えられた. 多枝病変でかつ内膜切除を必要とする症例においてもOPCAB症例に比べ, 安定した循環動態を得ることが可能であった. 【結語】閉鎖チャンバー式人工心肺システムを使用したONCAB症例10例を比較検討し報告した.
ISSN:0912-2664