P17 PCPS導入後の社会復帰率と導入時間帯との因果関係について

【目的】急性心筋梗塞や肺梗塞, 劇症型心筋炎, 大血管破裂など循環補助が必要となる症例も少なくない. 当センターでは, これらの症例に対し強力な補助循環効果を得ることができるPCPS(経皮的心肺補助)を施行し過去10年間の実績の中で導入時間帯と社会復帰率の因果関係について検討した. 【対象】1993年から2003年4月の間にPCPSを施行した80症例. 【方法】導入時間帯を日勤帯(8時50分~17時30分), 準夜帯(16時50分~1時30分), 深夜帯(0時50分~9時30分)に3分割し, その導入時間帯と社会復帰率を調査した. また, 日勤帯の時間を通常臨床工学技士が何等かの形で残務してい...

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Published in体外循環技術 Vol. 30; no. 3; p. 256
Main Authors 朝日雄一郎, 城崇友, 山下繁, 米田裕一, 南村秀行, 中谷晋也, 森脇敏成, 前田充徳, 小川昌彦, 塩崎敬, 仲井照和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術研究会 2003
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Summary:【目的】急性心筋梗塞や肺梗塞, 劇症型心筋炎, 大血管破裂など循環補助が必要となる症例も少なくない. 当センターでは, これらの症例に対し強力な補助循環効果を得ることができるPCPS(経皮的心肺補助)を施行し過去10年間の実績の中で導入時間帯と社会復帰率の因果関係について検討した. 【対象】1993年から2003年4月の間にPCPSを施行した80症例. 【方法】導入時間帯を日勤帯(8時50分~17時30分), 準夜帯(16時50分~1時30分), 深夜帯(0時50分~9時30分)に3分割し, その導入時間帯と社会復帰率を調査した. また, 日勤帯の時間を通常臨床工学技士が何等かの形で残務している時間帯19時とした場合の社会復帰率も調査した. 【結果】男女比は64:16(8:2), 年齢は17才から88才(平均63.2才)となっている. 体外循環時間は5,469分(平均日数3日と19時間9分)であった. 実施症例80例中, 杜会復帰症例は17例(21.25%), 死亡症例は63例(78.75%)であった. 社会復帰症例17例の内, 日勤帯8例(47.06%), 準夜帯5例(29.41%), 深夜帯4例(23.53%)であった. また, 日勤帯を19時までとした場合は, 日勤帯11例(64. 71%), 準夜帯2例(11.76%), 深夜帯4例(23.53%)であった. 【結論】社会復帰率は日勤帯(19時頃)が最も良い結果が得られた. 本センターではPCPSの緊急対応は当番制のオンコールとなっており, 時間外には導入までに30分から40分位の待ち時間が生じてしまう. 技士が到着してから導入までは約15分で導入できるが, 社会復帰率を向上させるためには時間外の体制を整えることが重要である.
ISSN:0912-2664