B-2-1. 当院STで言語相談を行った低出生体重児に関する調査
【目的】過去10年間に当院新生児未熟児科から言語相談依頼のあった低出生体重児について, (1)対象児に関する経年的変化, (2)STによるフォロー, (3)対象児のうち知的発達正常例の一語文, 二語文の初発時期の傾向, という点について調査, 検討を行った. 【方法】1995~2004年度までに言語相談を行った, 2500g未満の低出生体重児124名(男児71名, 女児53名)を対象とした. 対象児の外来カルテを検索し情報収集を行った. 【結果】(1)言語相談の全体数はここ数年やや増加していたが, なかでも超低出生体重児(1000g未満), 極低出生体重児(1000g以上1500g未満)の割合...
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Published in | コミュニケーション障害学 Vol. 23; no. 3; p. 231 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本コミュニケーション障害学会
2006
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ISSN | 1347-8451 |
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Summary: | 【目的】過去10年間に当院新生児未熟児科から言語相談依頼のあった低出生体重児について, (1)対象児に関する経年的変化, (2)STによるフォロー, (3)対象児のうち知的発達正常例の一語文, 二語文の初発時期の傾向, という点について調査, 検討を行った. 【方法】1995~2004年度までに言語相談を行った, 2500g未満の低出生体重児124名(男児71名, 女児53名)を対象とした. 対象児の外来カルテを検索し情報収集を行った. 【結果】(1)言語相談の全体数はここ数年やや増加していたが, なかでも超低出生体重児(1000g未満), 極低出生体重児(1000g以上1500g未満)の割合や, 在胎週数28週未満の超早産児の割合が増加傾向にあった. また, 初診時年齢は「ことばの遅れ」を主訴とする2歳代が最も多かったが, 近年1歳代での来談も増加していた. (2)何らかの形でSTのフォロー継続となったのが約7割で, なかでも「経過観察」が全体の約半数を占めていた. 「発達指導」を行った17名の内訳は, 知的障害9名, 広汎性発達障害4名, 重度の知的障害+自閉症(speechless)1名, 学習障害1名, その他2名であった. (3)日本版デンバー式発達スケールを正常発達の指標として比較したところ, 知的発達正常の低出生体重児(27名)では一語文, 二語文ともに初発時期が正常発達に比べ明らかに遅れるものが多かった. 【考察, まとめ】過去10年間に言語相談を行った低出生体重児に関する調査を行い, 近年1500g未満児や超早産児の割合が増加傾向にあることがわかった. また何らかの形でSTフォローを継続するケースが多く, こどもへの直接的なアプローチだけでなく, 母親へのフォローも含め, 長期にわたり母子と関わる場としての役割も重要であると思われた. 低出生体重児の中には, 後に知的な遅れを認めないキャッチアップするケースでも, 一語文, 二語文の初発時期が正常発達に比し明らかに遅れるものがいることが示唆された. |
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ISSN: | 1347-8451 |