P-50)大腿内側プロペラ皮弁による放射線潰瘍の被覆
目的:大腿部は皮弁の栄養血管が豊富にあることから多くの皮弁が採取可能である. 一方, プロペラ皮弁法は, 1991年百束らが方法論の報告を行ったが近年新しく穿通枝皮弁の利用法として注目を浴びている. 今回, われわれは大腿部の放射線潰瘍に対し, 穿通枝皮弁を軸としたプロペラ皮弁を用いて再建した1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する. 対象および方法:患者は44歳男性. 約18年前, 右大腿部に直径約10cmの硬結があることに気付き近医外科受診. 肉腫の診断にて根治的切除術および術後放射線治療を施行された. 約1年前より同部に掻痒感が出現し, 掻破していたところ潰瘍化したため再び近医...
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Published in | 日本医科大学医学会雑誌 Vol. 5; no. 4; pp. 268 - 269 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
2009
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ISSN | 1349-8975 |
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Summary: | 目的:大腿部は皮弁の栄養血管が豊富にあることから多くの皮弁が採取可能である. 一方, プロペラ皮弁法は, 1991年百束らが方法論の報告を行ったが近年新しく穿通枝皮弁の利用法として注目を浴びている. 今回, われわれは大腿部の放射線潰瘍に対し, 穿通枝皮弁を軸としたプロペラ皮弁を用いて再建した1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する. 対象および方法:患者は44歳男性. 約18年前, 右大腿部に直径約10cmの硬結があることに気付き近医外科受診. 肉腫の診断にて根治的切除術および術後放射線治療を施行された. 約1年前より同部に掻痒感が出現し, 掻破していたところ潰瘍化したため再び近医受診. 治療困難とのことで平成20年4月3日当科外来紹介受診となり, 放射線潰瘍の診断にて4月21日穿通枝局所皮弁(プロペラ皮弁)による再建術を施行した. なお, 前医および当科の生検にて悪性所見は認められなかった. 結果:皮弁の生着は良好で, 術後も潰瘍の再発は認めていない. 考察:プロペラ皮弁は, 最近では, 穿通枝のみを軸とするPPP(Perforator Pedicle Propeller)皮弁としての有用性が世界的に注目されている. 遊離皮弁に比較して低侵襲で皮弁採取後の瘢痕も目立ちにくく, 大腿部の再建においては優位性の高い選択肢であると思われた. |
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ISSN: | 1349-8975 |