1.皮膚疾患-他科領域に関連した医原性皮膚障害(II)

徐放性ステロイド注射による皮膚障害(図1, 2, 3) 副腎皮質ホルモンの局注療法は皮膚科, 整形外科, 形成外科領域を中心に広く使用されていたが, 花粉症患者の増加に伴って耳鼻科領域でも使用される. 徐放性ステロイド注射には一般名トリアムシノロンアセトニドの懸濁液が主に用いられ, 局所に長く留まり, 長期にわたって全身および局所に作用をおよぼす. 同薬剤の医薬品インタビューフォームにも皮内投与により, 局所に組織の萎縮による陥没が起こることがある, また皮膚菲薄化, 脆弱化, 脂肪織炎等があらわれることがある, と記載されている. 皮膚, 皮下組織の萎縮については一般に可逆性であると言われて...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 2; no. 1; pp. 9 - 11
Main Author 青木見佳子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2006
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Summary:徐放性ステロイド注射による皮膚障害(図1, 2, 3) 副腎皮質ホルモンの局注療法は皮膚科, 整形外科, 形成外科領域を中心に広く使用されていたが, 花粉症患者の増加に伴って耳鼻科領域でも使用される. 徐放性ステロイド注射には一般名トリアムシノロンアセトニドの懸濁液が主に用いられ, 局所に長く留まり, 長期にわたって全身および局所に作用をおよぼす. 同薬剤の医薬品インタビューフォームにも皮内投与により, 局所に組織の萎縮による陥没が起こることがある, また皮膚菲薄化, 脆弱化, 脂肪織炎等があらわれることがある, と記載されている. 皮膚, 皮下組織の萎縮については一般に可逆性であると言われており, 局注後, 1ヵ月半から3ヵ月頃出現し, 6~7ヵ月で改善するとされるが, 1~2年持続する例もある. IVRによる慢性放射線皮膚炎(図4, 5) PTCAの様に, X線透視下にカテーテルを使用して治療を行うinterventional radiology(IVR)の実施件数が増加し, 同一方向からの透視などによる皮膚の放射線障害が報告されるようになった. 1994年にアメリカFDAは, IVRにより重症の放射線皮膚障害が生じている事実を公表し警告を発している.
ISSN:1349-8975