シンポジウムを開催するにあたり
周知の通り近年本邦における疾病構造の変化, とりわけ花粉症やアトピー性皮膚炎, 気管支喘息などのアレルギー性疾患や, リウマチ様関節炎などの自己免疫疾患の明らかな増加傾向が認められるようになって参りました. こうした疾患群の特徴として, 一旦疾病が体内に構築されると, ごくまれに観察されるアナフィラキシー, ショックの場合を除き, 発症時には致死的な状況となることはないものの, 完治させるための手立てがいまだ確立されていないため, 一般に緩解と増悪を繰り返しながら長期にわたる治療を要すること, そしてそれらの過程で疾患が全身性に及ぶ可能性があるため, 継続的治療には各診療科を越えた総合的な洞察...
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Published in | 日本医科大学医学会雑誌 Vol. 1; no. 4; p. 198 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
2005
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Online Access | Get full text |
ISSN | 1349-8975 |
Cover
Summary: | 周知の通り近年本邦における疾病構造の変化, とりわけ花粉症やアトピー性皮膚炎, 気管支喘息などのアレルギー性疾患や, リウマチ様関節炎などの自己免疫疾患の明らかな増加傾向が認められるようになって参りました. こうした疾患群の特徴として, 一旦疾病が体内に構築されると, ごくまれに観察されるアナフィラキシー, ショックの場合を除き, 発症時には致死的な状況となることはないものの, 完治させるための手立てがいまだ確立されていないため, 一般に緩解と増悪を繰り返しながら長期にわたる治療を要すること, そしてそれらの過程で疾患が全身性に及ぶ可能性があるため, 継続的治療には各診療科を越えた総合的な洞察力, ならびにその骨格となる生体防御システムに関する基礎的な知識が必要です. そこで本シンポジウムでは, 「アレルギー, 膠原病に対する新たな展開」というタイトルを掲げ, 学内外より基礎, 臨床の双方の医学に精通した専門家の先生方をお招きし, こうした難治性の疾患群に焦点を合わせ, 最新の知見をもとにそれらに対する治療法の現況ならびに将来の展望に関して語っていただくことと致しました. このシンポジウムを通して, 多くの患者を苦しめている様々なアレルギー疾患や膠原病に対する認識が高まり, 新たな治療法の実態や今後の展望に対する理解が深まることを願っております. |
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ISSN: | 1349-8975 |