72)電気ポット・CCA(Citracomic anhydride)を用いた抗原賦活化法

目的:現在, 抗原の賦活化を行う方法としては, オートクレーブ, 電子レンジなどが用いられているが, オートクレーブで大量の切片を処理するためには, 機材を設置するための費用と場所の問題があり, 何処でも可能とは言い難い. 加熱から冷却までの時間も掛かる. 電子レンジでは, 照射条件を細かく設定しなければならず, 一度に斑無く反応出来る切片数は限られている. 何れも, 多量の切片を同時に染色することが要請される病理診断における抗原賦活法として最適とは言い難い. これらの問題を解決する方法として, 市販の電気ポットを利用した抗原賦活化を試みたので報告する. 対象および方法:ホルマリン固定後パラフ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 69; no. 6; p. 656
Main Authors 並松茂樹, 村瀬幸宏, 渡會泰彦, 田村浩一, 杉崎祐一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2002
Online AccessGet full text
ISSN1345-4676

Cover

More Information
Summary:目的:現在, 抗原の賦活化を行う方法としては, オートクレーブ, 電子レンジなどが用いられているが, オートクレーブで大量の切片を処理するためには, 機材を設置するための費用と場所の問題があり, 何処でも可能とは言い難い. 加熱から冷却までの時間も掛かる. 電子レンジでは, 照射条件を細かく設定しなければならず, 一度に斑無く反応出来る切片数は限られている. 何れも, 多量の切片を同時に染色することが要請される病理診断における抗原賦活法として最適とは言い難い. これらの問題を解決する方法として, 市販の電気ポットを利用した抗原賦活化を試みたので報告する. 対象および方法:ホルマリン固定後パラフィン包埋した通常の組織検体を用いた. 厚さ3ミクロンに薄切した切片をシランコーティングされたスライドガラスに貼付し, 型の如く, 脱パラフィン, アルコール下降系列を通し水洗した. 市販の電気ポットに抗原賦活剤(0`05%無水シトラコン酸水溶液pH74:CCA)を満たし, 沸騰後保温(約95℃)状態にし, スライドグラスを金属籠ごと沈め, 95℃45分加温処理した. 加温処理後直ちに緩衝液(室温)にて冷却した. 染色は自動免疫染色装置を用いて行った. 結果:電気ポットを用いることで, 組織障害の少ない温度で時間効率よく抗原賦活化が出来, 更にCCAを抗原賦活処理剤として用いることで, 再現性の高い, 感度のよい染色結果が得られた.
ISSN:1345-4676