P-25)高齢者における呼吸管理の特殊性と問題点
背景, 目的:本格的な高齢化社会を迎え, 救命救急センターの入院患者に占める高齢者の割合も年々増加し, 昨年は, 936人の入院患者のうち80歳以上の高齢者は139人(15%)に上り, 本年は7月25日までで582人中80人(約14%)に上る. 呼吸管理を必要とする症例が多く, より若年の患者とは異なり管理に難渋する症例が多いことから, 高齢者に特有な呼吸管理上の特徴について考察した. 対象, 方法:平成13年7月25日までに当救命救急センターに入院加療した80歳以上の患者80名のうち, 経過中呼吸管理が治療の主体を占めた35例. なお, 入院当日に死亡した症例, CPA症例は除外. 結果:8...
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Published in | Journal of Nippon Medical School Vol. 68; no. 6; p. 579 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
2001
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Summary: | 背景, 目的:本格的な高齢化社会を迎え, 救命救急センターの入院患者に占める高齢者の割合も年々増加し, 昨年は, 936人の入院患者のうち80歳以上の高齢者は139人(15%)に上り, 本年は7月25日までで582人中80人(約14%)に上る. 呼吸管理を必要とする症例が多く, より若年の患者とは異なり管理に難渋する症例が多いことから, 高齢者に特有な呼吸管理上の特徴について考察した. 対象, 方法:平成13年7月25日までに当救命救急センターに入院加療した80歳以上の患者80名のうち, 経過中呼吸管理が治療の主体を占めた35例. なお, 入院当日に死亡した症例, CPA症例は除外. 結果:80歳以上の患者のうち呼吸管理を必要とした35名の患者の平均年齢は85歳. 呼吸管理導入となった原因疾患はうっ血性心不全, 意識障害, 肺炎の3つの病態に集約され, それぞれの占める割合は各々ほぼ同率の42%(合併症も含む). 入院月別では1月と2月でほぼ半数の18人が入院. 予後は, 寛解, 自宅退院が8名, 引き続き入院加療中のもの20名, 死亡7名. 考察:高齢者, なかでも80歳以上の高齢者の呼吸機能の特徴として, 身体的な予備能力の低下に伴う易感染性, 呼吸筋の易疲労性, 肺コンプライアンスの低下があげられる. また, 高齢を理由に家族が気管内挿管を希望しない等の理由で予後の改善を認めない症例が存在することも社会的な特徴として無視できない点である. |
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ISSN: | 1345-4676 |