P-62)妊娠35週にて急性増悪した大動脈炎症候群合併妊娠
症例は27歳, 初産婦. 16歳で大動脈炎症候群を指摘され, 22歳で大動脈弁閉鎖不全のため弁置換術施行. 術後の血管造影で大動脈炎病変は腎動脈起始部まで至っていた. 以後, 当院内科にてステロイド(20mg/日), 降圧剤(カプトリル, ニフェジピン), 抗凝固剤(塩酸チクロピジン)を処方されフォローされていたが, 妊娠の診断(他院)とともに降圧剤は中止していた. 妊娠33週に分娩管理目的にて当科紹介. 外来スクリーニングでCRP1.8(<04)mg/dlと上昇, 推定体重1,500gと子宮内胎児発育遅延傾向を認めたため妊娠35週1日より入院管理とした. 入院時, 収縮期血圧上肢120...
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Published in | Journal of Nippon Medical School Vol. 67; no. 6; p. 530 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
2000
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ISSN | 1345-4676 |
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Summary: | 症例は27歳, 初産婦. 16歳で大動脈炎症候群を指摘され, 22歳で大動脈弁閉鎖不全のため弁置換術施行. 術後の血管造影で大動脈炎病変は腎動脈起始部まで至っていた. 以後, 当院内科にてステロイド(20mg/日), 降圧剤(カプトリル, ニフェジピン), 抗凝固剤(塩酸チクロピジン)を処方されフォローされていたが, 妊娠の診断(他院)とともに降圧剤は中止していた. 妊娠33週に分娩管理目的にて当科紹介. 外来スクリーニングでCRP1.8(<04)mg/dlと上昇, 推定体重1,500gと子宮内胎児発育遅延傾向を認めたため妊娠35週1日より入院管理とした. 入院時, 収縮期血圧上肢120mmHg, 下肢180mmHgで尿蛋白や浮腫は認めなかった. 児は推定体重1600g, 羊水ポケット4cm, 胎児心拍モニターはreactive patternであった. 同日, 夕方より上腹部痛, 悪心の自覚があり, 母体GOT260(10~28)IU/l, GPT316(5-33)IU/l, BS64(70~110)mg/dl, T-Bil0.7(0.2~1.2)mg/dl, UA10.0(2.3~6.0)mg/dl, BUN15.6(7~22)mg/dl, CRE1.45(0.6~12)mg/dl, Hb11.7(12~16)g/dl, Plt310,000/m3, AT-III39(80~120)%の結果を得た. 鑑別疾患として, 急性妊娠性脂肪肝, 大動脈炎症候群の急性増悪, チクロピジンの副作用などが挙げられたが, 翌日の胎児心拍モニターでnon-reactive patternを示し, 子宮内胎児発育遅延および胎児仮死を適応として全身麻酔下で帝王切開を施行した. 術中所見として, 子宮は全体的に蒼白を示し羊水は過少で, 子宮循環不全を推定させた. 視触診上, 脂肪肝は否定的であった. 術中出血量は230g. 胎盤は375gで臍帯異常や早剥は認めなかったが, 病理検査で多数の梗塞像が確認された. 新生児は女児, 1,534g, アプガースコアは1分後7点, 5分後9点であった. 術後はAT-IIIおよびヘパリンを用いて管理し, GOT, GPTともに6日目に正常値に復した. 以後, 母児ともに格変なく経過している. |
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ISSN: | 1345-4676 |