P-7 透析患者においてn-3系多価不飽和脂肪酸が生命予後に及ぼす影響

【背景】n-3系多価不飽和脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)には抗動脈硬化作用があるだけでなく, 抗炎症作用, 抗ガン作用などがあることが知られている. 人工透析患者では, これらの疾患による死亡率が高いことが報告されているが, 我々の知る限り脂肪酸との関連については未だ疫学的調査はされていない. 【目的】人工透析患者における血中n-3系多価不飽和脂肪酸が死亡率における独立した予後予測因子であるかを調査. 【方法】人工透析患者176名(年齢64.1±12.0歳(平均±標準偏差), 男性=96, 女性=80)を2002年11月から2007年11月の間追跡調査...

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Published in脂質栄養学 Vol. 17; no. 2; p. 147
Main Authors 浜崎景, 寺島嘉宏, 糸村美保, 澤崎茂樹, 稲垣均, 黒田昌宏, 富田新, 平田仁, 浜崎智仁, 高田秀穂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脂質栄養学会 2008
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Summary:【背景】n-3系多価不飽和脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)には抗動脈硬化作用があるだけでなく, 抗炎症作用, 抗ガン作用などがあることが知られている. 人工透析患者では, これらの疾患による死亡率が高いことが報告されているが, 我々の知る限り脂肪酸との関連については未だ疫学的調査はされていない. 【目的】人工透析患者における血中n-3系多価不飽和脂肪酸が死亡率における独立した予後予測因子であるかを調査. 【方法】人工透析患者176名(年齢64.1±12.0歳(平均±標準偏差), 男性=96, 女性=80)を2002年11月から2007年11月の間追跡調査した. 平均追跡期間は48±17ヶ月間であった. 試験開始時に全員の赤血球リン脂質中脂肪酸組成をガスクロマトグラフィーにて測定した. 【結果】追跡期間中に54名の患者が死亡した(冠動脈疾患4名, 心不全11名, 突然死2名, 脳血管障害13名, 癌6名, 感染症9名, その他9名). コックス比例ハザードモデルによる統計解析で, 以下の5つの絞絡因子(性別・糖尿病歴・研究参加までの透析導入期間・LDLコレステロール・喫煙の有無)で調整した結果, 全死亡率のハザード比はDHAの低い群(<7.81%, n=30)と比較し, DHAの高い群(n=24)で0.53(95%信頼区間, 0.29 to 0.96)と有意に低下していた. また, 血中EPAの低い群(<0.84%, n=25)と比較して高い群(n=29)では, 1.06(95%信頼区間:0.62 to 1.81)であった. 【考察】血中DHAは全原因死亡率に関して死亡率を低下させる独立した予後予測因子であると考えられ, 透析患者においてDHAの摂取が推奨される.
ISSN:1343-4594