慢性膵炎に対する治療戦略 ; Surgery vs. Interventional endoscopy

「はじめに」慢性膵炎の主症状は, 上腹部痛, 背部痛, 消化不良, 糖尿病等があるが, 特に上腹部痛, 背部痛が患者のQuality of Lifeを損なう症状であり, 鎮痛薬投与でも改善せず, 難治性疼痛を有する症例も少なくない. 保存的治療で改善しない難治性疼痛例に対する治療としては, 内視鏡治療, ESWLおよび外科治療が選択肢として挙げられる. 内視鏡治療と外科治療を比較した報告は少ないが, 疼痛緩和効果, 再治療率において, 外科治療が優れていることがヨーロッパから報告されている. 一方, 我が国の慢性膵炎診療ガイドラインでは, 保存的治療で改善しない慢性膵炎の疼痛では, 内視鏡治療...

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Published in膵臓 Vol. 33; no. 6; pp. 897 - 901
Main Authors 竹山宜典, 北野雅之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 25.12.2018
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Summary:「はじめに」慢性膵炎の主症状は, 上腹部痛, 背部痛, 消化不良, 糖尿病等があるが, 特に上腹部痛, 背部痛が患者のQuality of Lifeを損なう症状であり, 鎮痛薬投与でも改善せず, 難治性疼痛を有する症例も少なくない. 保存的治療で改善しない難治性疼痛例に対する治療としては, 内視鏡治療, ESWLおよび外科治療が選択肢として挙げられる. 内視鏡治療と外科治療を比較した報告は少ないが, 疼痛緩和効果, 再治療率において, 外科治療が優れていることがヨーロッパから報告されている. 一方, 我が国の慢性膵炎診療ガイドラインでは, 保存的治療で改善しない慢性膵炎の疼痛では, 内視鏡治療が推奨されており, 内視鏡治療でも改善しない場合には, 外科治療が推奨されている. しかしながら, 外科治療が実施できる施設数が限られていること, 内視鏡治療と外科治療を比較したエビデンスが少ないことが問題となっている.
ISSN:0913-0071