再発乳癌に対する温熱放射線療法

【目的】再発乳癌に対する温熱放射線療法の意義を検討する. 【方法】1983年4月から1997年1月にかけて臨床的に他に病変が認められず, 治癒を目的に温熱放射線療法を行った再発乳癌症例19例につき検討した. 年齢は34~67歳, 平均55.2歳, 中央値56歳. 組織型は全例腺癌であった. 治療部位は鎖骨上リンパ節が11例, 局所再発が5例, 傍胸骨リンパ節が2例, 腋窩リンパ節が1例であった. 放射線治療は32Gy~69Gy, 平均57.3Gy, 中央値60Gyであった. 温熱療法の回数は1回から14回, 中央値5回であった. 1例に抗癌剤(ミフロール)を併用した. 【結果】全例の平均Tma...

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Published in日本ハイパーサーミア学会誌 Vol. 19; no. suppl; p. 132
Main Authors 唐澤克之, 新部譲, 梅澤朋子, 田中良明, 松田忠義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ハイパーサーミア学会 2003
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ISSN0911-2529

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Summary:【目的】再発乳癌に対する温熱放射線療法の意義を検討する. 【方法】1983年4月から1997年1月にかけて臨床的に他に病変が認められず, 治癒を目的に温熱放射線療法を行った再発乳癌症例19例につき検討した. 年齢は34~67歳, 平均55.2歳, 中央値56歳. 組織型は全例腺癌であった. 治療部位は鎖骨上リンパ節が11例, 局所再発が5例, 傍胸骨リンパ節が2例, 腋窩リンパ節が1例であった. 放射線治療は32Gy~69Gy, 平均57.3Gy, 中央値60Gyであった. 温熱療法の回数は1回から14回, 中央値5回であった. 1例に抗癌剤(ミフロール)を併用した. 【結果】全例の平均Tmax, Tave, Tminは各々42.8±1.67℃, 41.9±1.27℃, 40.6±1.19℃であった. 一次効果はCR16例, PR3例, CR率(84%), 奏効率(100%)であった. CR群とPR群の平均Taveは各々42.1±1.33℃, 40.2±0.24℃と有意にCR群で高値であった(P=0.0388). 明らかな局所再燃は認められなかった. 生存期間の中央値, 2年, 5年, 10年生存率はそれぞれ39.2か月, 68.4%, 26.3%, 13.2%であった. 重篤な有害事象は認められなかった. 死因は遠隔転移によるものが大半を占めた. 【結論】内分泌化学療法の進歩した現在, 再発乳癌に対する温熱放射線療法の意義は相対的に薄れたが, 同療法は対象疾患が巨大な腫瘤にも関わらず, 局所制御に優れ, 一部長期生存する症例もあり, その適応が再検討されるべきであると考えられた.
ISSN:0911-2529