当院における大腿骨頸部骨折の検討

【目的】65歳以上の大腿骨頸部骨折患者について検討した. 【対象】当院に入院した65歳以上の大腿骨頸部骨折患者47例, 男10例, 女37例, 最高年齢は92歳(平均80.7歳)である. 骨折型は内側骨折14例, 外側骨折33例で, 偽関節の症例は7例あり, 内側骨折6例, 外側骨折1例からの症例である. 【結果と考察】受傷原因は転倒が多く, 47例中42例で31.8%に転倒または骨折しやすい合併症がみられた. 院内転倒は8例あるが, 転倒の状況はトイレ動作中・トイレの往復での転倒が5例とトイレに関係したものが多い. 初回治療は観血的治療36例, 保存的治療10例, 未治療1例であった. 観血...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 30; no. 11; p. 888
Main Authors 百田耕, 山内豊明, 安藤則行, 矢野二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 1993
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Summary:【目的】65歳以上の大腿骨頸部骨折患者について検討した. 【対象】当院に入院した65歳以上の大腿骨頸部骨折患者47例, 男10例, 女37例, 最高年齢は92歳(平均80.7歳)である. 骨折型は内側骨折14例, 外側骨折33例で, 偽関節の症例は7例あり, 内側骨折6例, 外側骨折1例からの症例である. 【結果と考察】受傷原因は転倒が多く, 47例中42例で31.8%に転倒または骨折しやすい合併症がみられた. 院内転倒は8例あるが, 転倒の状況はトイレ動作中・トイレの往復での転倒が5例とトイレに関係したものが多い. 初回治療は観血的治療36例, 保存的治療10例, 未治療1例であった. 観血的治療36例中術後3カ月経ち, 車椅子レベルが8例あるが, 5例に脳血管障害などの合併症がみられた. 歩行状態に影響を与える合併症をもつ症例の歩行能力の再獲得は困難である. 保存的治療10例中8例は合併症のため手術中止になった例であるが, 保存的治療でも十分なリハビリテーション(以下, リハ)を行えば生命的・機能的予後は予想よりよい. 偽関節の7例の治療は偽関節のままリハが3例, 人工骨頭置換術2例, ピンニング2例であった. 現在の状態は歩行可能2例, 車椅子レベル3例, 寝たきり1例, 死亡1例である. 車椅子レベル以上の5例は歩行以外のADLは自立しており, いろいろな状況から手術が困難であると判断したならば, 合併症の悪化に注意してリハを行えばそれなりの成果が得られると思われる.
ISSN:0034-351X