O- 3. Video Fluorographyによる嚥下時咽頭後壁動態評価の再現性

【目的】我々はパーソナルコンピュータを用いたVideo Fluorography(VF)画像の詳細な解析方法を構築し, 頭頸部癌患者における嚥下時の咽頭後壁の動態変化を解析してきた. その結果, 高度の嚥下障害を認める場合, 咽頭後壁の運動パターンに変化が生じている可能性が示唆された. しかし, この解析評価方法の再現性については調べられていなかったため, 今回は再現性について検討した. 【方法】検討にはVF検査を術前と術後に施行した頭頸部癌患者5人の画像を使用した. それぞれ嚥下試料(増粘剤を入れたバリウム5ml/回)を3回嚥下させ, 得られたVF画像(側面像, 合計30嚥下動画画像)をパー...

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Published in歯科放射線 Vol. 47; no. 1/4; p. 89
Main Authors 後藤真一, 大重日出男, 泉雅浩, 内藤宗孝, 有地淑子, 下郷和雄, 有地榮一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 2007
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Summary:【目的】我々はパーソナルコンピュータを用いたVideo Fluorography(VF)画像の詳細な解析方法を構築し, 頭頸部癌患者における嚥下時の咽頭後壁の動態変化を解析してきた. その結果, 高度の嚥下障害を認める場合, 咽頭後壁の運動パターンに変化が生じている可能性が示唆された. しかし, この解析評価方法の再現性については調べられていなかったため, 今回は再現性について検討した. 【方法】検討にはVF検査を術前と術後に施行した頭頸部癌患者5人の画像を使用した. それぞれ嚥下試料(増粘剤を入れたバリウム5ml/回)を3回嚥下させ, 得られたVF画像(側面像, 合計30嚥下動画画像)をパーソナルコンピュータにキャプチャし, 2次元動画計測ソフトウェアを用いて各フレーム毎(29.97fps)に第2・3・4頸椎前面点とその直前の咽頭後壁点をプロットした. そこからの距離を算出し, 咽頭後壁の厚みの変化を記録した. データ取得の開始時点は軟口蓋が咽頭壁に接触した点時とした. 得られたデータから咽頭後壁の厚みを各頸椎毎に時間軸でプロットし, その最大突出時のタイミングを検出した. そのタイミングのパターンによって症例を分類した. 評価の再現性を調査するため, 画像解析評価は臨床経験10年以上の歯科放射線医と口腔外科医の4名において同じ方法で行い, 運動パターン毎に分類した場合の一致率を算出した. 評価者内の一致率については歯科放射線医1名について算出した. 【結果】4人の評価者間の一致率は, Kendallの順位相関係数にて0.83, κ値にて0.77という高い値を示した. また, 評価者内の一致率においてもκ値にて0.76という高い値を示した. 【考察】結果より, 以前より構築してきたVF動画画像のコンピュータ解析方法による嚥下評価において高い再現性が確認できた. この解析方法により時間軸での咽頭後壁動態を評価することができ, 他施設で行われたVF検査画像において他の評価者が解析しても同じ動態変化が捉えられる事が立証された. また, 今回の結果においても, 嚥下障害症例において術後の咽頭後壁の動態に変化が認められることが示唆された.
ISSN:0389-9705