われわれの行なっている嚥下訓練法(昭和大嚥下法)の客観的評価

目的：嚥下障害の治療法として, われわれは嚥下運動に関与する神経筋機構を賦活する機能療法や代償機能を利用する方法などの保存的療法を主として行なっている. 嚥下法(Swallowing maneuver)は保存的療法の一つで, 嚥下時の気道の閉鎖, 食塊の送り込みや食道入口部の開大を改善する手法で, 臨床的にも極めて有効な方法とされているが, その効果について定量的に検討を行なった報告は今までのところ見当たらない. 現在われわれの指導している方法(昭和大嚥下法)は, 嚥下時に舌背を可及的に後方まで口蓋に接触させると同時に喉頭を挙上し, 強く息ごらえをしながら嚥下する方法で, 気道の閉鎖を目的とし...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in歯科放射線 Vol. 38; no. suppl; p. 105
Main Authors 平野薫, 高橋浩二, 横山美加, 道脇幸博, 道健一, 関健次, 佐野司, 岡野友宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 1998
Online AccessGet full text
ISSN0389-9705

Cover

Abstract 目的：嚥下障害の治療法として, われわれは嚥下運動に関与する神経筋機構を賦活する機能療法や代償機能を利用する方法などの保存的療法を主として行なっている. 嚥下法(Swallowing maneuver)は保存的療法の一つで, 嚥下時の気道の閉鎖, 食塊の送り込みや食道入口部の開大を改善する手法で, 臨床的にも極めて有効な方法とされているが, その効果について定量的に検討を行なった報告は今までのところ見当たらない. 現在われわれの指導している方法(昭和大嚥下法)は, 嚥下時に舌背を可及的に後方まで口蓋に接触させると同時に喉頭を挙上し, 強く息ごらえをしながら嚥下する方法で, 気道の閉鎖を目的としたSuper supraglottic swallow, 舌による食塊の送り込みを改善するEffortful swallowおよび喉頭挙上を目的としたMendelsohn maneuverを組み合わせた方法に相当すると考えている. 今回, われわれは安静時および嚥下法施行時に頸部のCT撮影を行ない, 嚥下法の効果を定量的に評価したので報告する. 方法：対象はボランティアの健常者5名(男性3名, 女性2名)と嚥下障害を有する口腔腫瘍術後患者3名(男性1名, 女性2名)で, 安静時および嚥下法施行時にCT検査を施行した. CTの撮像はスライス幅2mmで咬合平面に平行に第2頸椎から輪状軟骨下縁までの範囲で行なった. CT画像上で声門部および喉頭前庭相当部の開存面積および頚椎前縁を結ぶ接線と第4あるいは第5頚椎下端を基準とする舌骨の垂直的・水平的距離を計測し, 安静時および嚥下法施行時を比較することにより嚥下法の効果について検討した. 結果ならびに結論：嚥下法施行により声門部ならびに喉頭前庭相当部の開存面積は顕著に縮小した(安静時を100%とした平均開存率：声門部1.0%, 喉頭前庭相当部0.1%). また舌骨の挙上も確認され(平均挙上量9.4mm), 嚥下法を施行することにより嚥下時の気道の保護と喉頭の挙上が得られることが定量的に評価された.
AbstractList 目的：嚥下障害の治療法として, われわれは嚥下運動に関与する神経筋機構を賦活する機能療法や代償機能を利用する方法などの保存的療法を主として行なっている. 嚥下法(Swallowing maneuver)は保存的療法の一つで, 嚥下時の気道の閉鎖, 食塊の送り込みや食道入口部の開大を改善する手法で, 臨床的にも極めて有効な方法とされているが, その効果について定量的に検討を行なった報告は今までのところ見当たらない. 現在われわれの指導している方法(昭和大嚥下法)は, 嚥下時に舌背を可及的に後方まで口蓋に接触させると同時に喉頭を挙上し, 強く息ごらえをしながら嚥下する方法で, 気道の閉鎖を目的としたSuper supraglottic swallow, 舌による食塊の送り込みを改善するEffortful swallowおよび喉頭挙上を目的としたMendelsohn maneuverを組み合わせた方法に相当すると考えている. 今回, われわれは安静時および嚥下法施行時に頸部のCT撮影を行ない, 嚥下法の効果を定量的に評価したので報告する. 方法：対象はボランティアの健常者5名(男性3名, 女性2名)と嚥下障害を有する口腔腫瘍術後患者3名(男性1名, 女性2名)で, 安静時および嚥下法施行時にCT検査を施行した. CTの撮像はスライス幅2mmで咬合平面に平行に第2頸椎から輪状軟骨下縁までの範囲で行なった. CT画像上で声門部および喉頭前庭相当部の開存面積および頚椎前縁を結ぶ接線と第4あるいは第5頚椎下端を基準とする舌骨の垂直的・水平的距離を計測し, 安静時および嚥下法施行時を比較することにより嚥下法の効果について検討した. 結果ならびに結論：嚥下法施行により声門部ならびに喉頭前庭相当部の開存面積は顕著に縮小した(安静時を100%とした平均開存率：声門部1.0%, 喉頭前庭相当部0.1%). また舌骨の挙上も確認され(平均挙上量9.4mm), 嚥下法を施行することにより嚥下時の気道の保護と喉頭の挙上が得られることが定量的に評価された.
Author 佐野司
平野薫
横山美加
関健次
岡野友宏
高橋浩二
道健一
道脇幸博
Author_xml – sequence: 1
  fullname: 平野薫
– sequence: 2
  fullname: 高橋浩二
– sequence: 3
  fullname: 横山美加
– sequence: 4
  fullname: 道脇幸博
– sequence: 5
  fullname: 道健一
– sequence: 6
  fullname: 関健次
– sequence: 7
  fullname: 佐野司
– sequence: 8
  fullname: 岡野友宏
BookMark eNrjYmDJy89LZWHgNDC2sNS1NDcw5WDgKi7OMjAwtTAyNeBkCHvc1P-4qQdKNq57sRBIrnrcuPhx47LHjS2Pm7qfzlr6ZEf3ixWTn2_f8mzzVI1nM9Y-ndTzdMlyiARQSBOo7-m6RS-WbX4-q-XFyqlP9i3kYWBNS8wpTuWF0twMbm6uIc4eurmpKZnJiTn5eTmZeanxWfmlRXlA-fjkdPOU1LySonhDS0uLeAOga4sN4w2NjeMNDA1MwYSJhYGZmYEx1QwCABEwcmY
ContentType Journal Article
CorporateAuthor 昭和大・歯・歯放
昭和大・歯・口外
CorporateAuthor_xml – name: 昭和大・歯・口外
– name: 昭和大・歯・歯放
DatabaseTitleList
DeliveryMethod fulltext_linktorsrc
EndPage 105
ExternalDocumentID cg7dentr_1998_0038s1_133_0105_0105480660
GroupedDBID 2WC
ABJNI
ALMA_UNASSIGNED_HOLDINGS
JSF
KQ8
MOJWN
OK1
RJT
ID FETCH-medicalonline_journals_cg7dentr_1998_0038s1_133_0105_01054806603
ISSN 0389-9705
IngestDate Wed Apr 09 06:18:24 EDT 2025
IsPeerReviewed false
IsScholarly true
Issue suppl
Language Japanese
LinkModel OpenURL
MergedId FETCHMERGED-medicalonline_journals_cg7dentr_1998_0038s1_133_0105_01054806603
ParticipantIDs medicalonline_journals_cg7dentr_1998_0038s1_133_0105_0105480660
PublicationCentury 1900
PublicationDate 19980000
PublicationDateYYYYMMDD 1998-01-01
PublicationDate_xml – year: 1998
  text: 19980000
PublicationDecade 1990
PublicationTitle 歯科放射線
PublicationYear 1998
Publisher 日本歯科放射線学会
Publisher_xml – name: 日本歯科放射線学会
SSID ssj0058250
ssib000872104
ssib007834049
Score 2.9243488
Snippet 目的：嚥下障害の治療法として, われわれは嚥下運動に関与する神経筋機構を賦活する機能療法や代償機能を利用する方法などの保存的療法を主として行なっている. 嚥下法(Swallowing maneuver)は保存的療法の一つで, 嚥下時の気道の閉鎖, 食塊の送り込みや食道入口部の開大を改善する手法で,...
SourceID medicalonline
SourceType Publisher
StartPage 105
Title われわれの行なっている嚥下訓練法(昭和大嚥下法)の客観的評価
URI http://mol.medicalonline.jp/en/journal/abstract?GoodsID=cg7dentr/1998/0038s1/133&name=0105-0105j
Volume 38
hasFullText 1
inHoldings 1
isFullTextHit
isPrint
link http://utb.summon.serialssolutions.com/2.0.0/link/0/eLvHCXMwpV3daxNBEF9qnxQpiopalT64oA-R3Mfe7j7J3uVCURSEKn0Ll2siCK1g0hffEvrWgqAUpG_xo36AfamgT_4z17T5M5yZu0s3UKG1EJa5udmZ385kubmP2WXstk5k4iwFfkUEicKSnKSiIA-oNFuuTANISdIq1js_ehzMP_UfLIrFqTMD66ul1W7zXvr6yLqS_4kq8CCuWCV7gsiOlQIDaIgvtBBhaI8VYx57XLlc1Usi-gfH4SbmseLGsTimJLySCApC-WX3kMeCa8ON4LHPQ0Uc0KO4hl6Sh_AD4YCHHtcCslWkNQjUqGMOQHDjcyOPUjXuqC2cAlvjkiESAEPQEVEBR6M8agAZx86tURvYNXWUB3PaITAkCTrDKmkgzHr8v6UzmoxoriRX5CcNmsJDEQ1HOCo0oEvcAmnEAciiQ9kAnYO-Bb0O_tBiTHoFVzD8qq0XRoyOVAhNyRKMItlaCXOprFIcTyAamCRXAhFxE51o8OTiGsUbBKLSTlHgpnRFy6qwL16esiZpBzeCta5GTiHbmjyaWF48fS5pCdUGDgNXilUdp-F4XgO3TqXGV5CW4lMxyGXxo8mHT-wEXrr2DT1u20LvbfNcSCiX9kgeQz_Hzi_nLyDzhWCsXG7hApspbsLmTD6jLrKpF8kl9izrv8n6G0Xb2xkNoP2e9T5mve2st5b114dbn_d-r4--vjv49XN_d_PO_vsfw7cbw09f8hPAugv9hjsfRtu7B1tro2-be38Gl1m9Hi9E85UJRI1ifncax_WMd4VNr7xcaV1lc652UkixU7inaflJu5m4nvCklG3fSdquL6-x-6c0dv3UGmbZ2byuFh8j3mDT3VerrZuQWHebtyi2fwFpRqby
linkProvider Colorado Alliance of Research Libraries
openUrl ctx_ver=Z39.88-2004&ctx_enc=info%3Aofi%2Fenc%3AUTF-8&rfr_id=info%3Asid%2Fsummon.serialssolutions.com&rft_val_fmt=info%3Aofi%2Ffmt%3Akev%3Amtx%3Ajournal&rft.genre=article&rft.atitle=%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%AE%E8%A1%8C%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E5%9A%A5%E4%B8%8B%E8%A8%93%E7%B7%B4%E6%B3%95%28%E6%98%AD%E5%92%8C%E5%A4%A7%E5%9A%A5%E4%B8%8B%E6%B3%95%29%E3%81%AE%E5%AE%A2%E8%A6%B3%E7%9A%84%E8%A9%95%E4%BE%A1&rft.jtitle=%E6%AD%AF%E7%A7%91%E6%94%BE%E5%B0%84%E7%B7%9A&rft.au=%E5%B9%B3%E9%87%8E%E8%96%AB&rft.au=%E9%AB%98%E6%A9%8B%E6%B5%A9%E4%BA%8C&rft.au=%E6%A8%AA%E5%B1%B1%E7%BE%8E%E5%8A%A0&rft.au=%E9%81%93%E8%84%87%E5%B9%B8%E5%8D%9A&rft.date=1998&rft.pub=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%AD%AF%E7%A7%91%E6%94%BE%E5%B0%84%E7%B7%9A%E5%AD%A6%E4%BC%9A&rft.issn=0389-9705&rft.volume=38&rft.issue=suppl&rft.spage=105&rft.epage=105&rft.externalDocID=cg7dentr_1998_0038s1_133_0105_0105480660
thumbnail_l http://covers-cdn.summon.serialssolutions.com/index.aspx?isbn=/lc.gif&issn=0389-9705&client=summon
thumbnail_m http://covers-cdn.summon.serialssolutions.com/index.aspx?isbn=/mc.gif&issn=0389-9705&client=summon
thumbnail_s http://covers-cdn.summon.serialssolutions.com/index.aspx?isbn=/sc.gif&issn=0389-9705&client=summon