高速螺旋CTによる三次元セファロメトリ

目的:高速螺旋CTを利用した三次元セファロメトリを確立する. 方法:1)In Vitro:乾燥頭蓋骨をスライス厚1mm, 3mm, 5mmおよび7mmで撮影し三次元画像を構築した. この三次元画像上において, 二次元セファロメトリで用いる計測点をプロットし, 2点間の距離ならびに3点間の角度を計測した. これらのデータと実測値を比較した. 2)In Vivo:対象として5歳から25歳までの健常者25名を用いた. あらかじめこれら健常者からは撮影の了承を得た. 得られた三次元画像において距離ならびに角度の計測をおこない, これらのデータをもとに成長に伴う変化を解析した. 結果:1)In Vitr...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in歯科放射線 Vol. 38; no. suppl; p. 75
Main Authors 米津康一, 北浦英樹, 北森秀希, 中村卓
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 1998
Online AccessGet full text
ISSN0389-9705

Cover

More Information
Summary:目的:高速螺旋CTを利用した三次元セファロメトリを確立する. 方法:1)In Vitro:乾燥頭蓋骨をスライス厚1mm, 3mm, 5mmおよび7mmで撮影し三次元画像を構築した. この三次元画像上において, 二次元セファロメトリで用いる計測点をプロットし, 2点間の距離ならびに3点間の角度を計測した. これらのデータと実測値を比較した. 2)In Vivo:対象として5歳から25歳までの健常者25名を用いた. あらかじめこれら健常者からは撮影の了承を得た. 得られた三次元画像において距離ならびに角度の計測をおこない, これらのデータをもとに成長に伴う変化を解析した. 結果:1)In Vitro:スライス厚の違いによる検討では1mmおよび3mmのスライス厚では実測値との誤差はすべての項目で2%以内であった. また高い再現性も得られた. しかし5mmおよび7mmでは, 測定項目によっては10-18%と大きな誤差を生じた. したがって, セファロメトリにおいては1mmおよび3mmのスライス厚での撮影が必要であり, 臨床応用を考慮すると3mm厚でスキャンするのが妥当と考えた. 2)In Vivo:この三次元セファロメトリにより, 成長に伴う顎顔面骨の変化を捉えることができた. また従来の二次元セファロメトリでは得られなかった三次元的な距離, 角度の評価が行えるようになった. 結論:この研究により, 高速螺旋CTを用いた三次元セファロメトリが可能となった. さらに従来困難であった三次元的な長さ, 角度を計測することにより, 顎顔面領域の成長, 発達に関する新たなデータが得られる可能性が示唆された.
ISSN:0389-9705