肉食の伝統

1.栄養改善がもたらしたもの 今世紀初頭, 日本人の平均寿命は男女とも37~38歳で, 同時期世界最高の平均寿命であったニュージーランドの60歳より20歳以上も低かった. 当時(1911~15年)の日本人の1日当たりの栄養供給量は, 熱量2,110kcalで, タンパク質は60g, そのうち動物性タンパク質はわずかの3gであったという1). 戦後, 1947年にようやく男女とも平均寿命は50歳を超え, その後は経済成長とともに栄養状態はどんどんと改善された. それに従って平均寿命も延び, 現在では, 男性76.57歳, 女性82.98歳(厚生省, 1994年簡易生命表)と世界最長寿の地位に立つ...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 38; no. 2; pp. 129 - 132
Main Author 井上勝六
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 1996
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ISSN1341-0725

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Summary:1.栄養改善がもたらしたもの 今世紀初頭, 日本人の平均寿命は男女とも37~38歳で, 同時期世界最高の平均寿命であったニュージーランドの60歳より20歳以上も低かった. 当時(1911~15年)の日本人の1日当たりの栄養供給量は, 熱量2,110kcalで, タンパク質は60g, そのうち動物性タンパク質はわずかの3gであったという1). 戦後, 1947年にようやく男女とも平均寿命は50歳を超え, その後は経済成長とともに栄養状態はどんどんと改善された. それに従って平均寿命も延び, 現在では, 男性76.57歳, 女性82.98歳(厚生省, 1994年簡易生命表)と世界最長寿の地位に立つにいたった. もちろん, 労働条件・生活環境の改善や, 医療の進歩・普及などの影響は無視できないが, 栄養の改善, 特に動物性タンパク質摂取量の増加による免疫能の向上が, 感染予防・老化予防に与えた役割は大きい.
ISSN:1341-0725