18. 気管支内視鏡で診断された3重複肺癌の1例

症例は76歳男性. 高血圧, 高脂血症, 高尿酸血症で近医通院中であった. 定期検査で行った胸部単純写真にて異常陰影を指摘され当院へ紹介受診となった. 受診時の胸部単純写真では右肺門部に空洞を伴う腫瘤性病変があり, 胸部CTでは右肺上葉S2~下葉S6にまたがって内部に液面形成を伴い, 壁の1部が腫瘤状となった空洞性病変を認めた. 診断のために行った気管支内視鏡検査では, 右B6は, 表面が凹凸不整な腫瘤により入口部から完全に閉塞していた. また, 右B8入口部背側壁には, 表面顆粒状, 凹凸不整, 赤色点を伴うポリープ状の腫瘍を認めB8は著明に狭窄していた. さらに, 左B6入口部にも表面穎顆...

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Published in気管支学 Vol. 30; no. 6; p. 416
Main Authors 千住博明, 今立博子, 池田喬哉, 角川智之, 佐々木英祐, 木下明敏, 遠山啓亮, 辻博治, 伊藤正博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器内視鏡学会 2008
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Summary:症例は76歳男性. 高血圧, 高脂血症, 高尿酸血症で近医通院中であった. 定期検査で行った胸部単純写真にて異常陰影を指摘され当院へ紹介受診となった. 受診時の胸部単純写真では右肺門部に空洞を伴う腫瘤性病変があり, 胸部CTでは右肺上葉S2~下葉S6にまたがって内部に液面形成を伴い, 壁の1部が腫瘤状となった空洞性病変を認めた. 診断のために行った気管支内視鏡検査では, 右B6は, 表面が凹凸不整な腫瘤により入口部から完全に閉塞していた. また, 右B8入口部背側壁には, 表面顆粒状, 凹凸不整, 赤色点を伴うポリープ状の腫瘍を認めB8は著明に狭窄していた. さらに, 左B6入口部にも表面穎顆粒状, 凹凸不整の1部に白苔を伴うポリープ状の腫瘍を認め, B6は全周性に狭窄していた. 右B6, 右B8, 左B6の病変部のそれぞれから生検, 擦過細胞診を施行した. その病理結果は, 右B6は小細胞癌, 右B8, 左B6は扁平上皮癌の診断で, 3重複肺癌であった. 3重複肺癌は比較的稀な症例であり, その頻度は肺癌全体の約0.1%程度といわれている. 今回, 若干の文献的考察を含め報告する.
ISSN:0287-2137