気管支鏡検査におけるインフォームド・コンセントの意義に関する定量的評価

〔目的〕気管支鏡検査において, インフォームド・コンセントを実施することにより得られる便益と, 実施するために要する資源を比較評価する. 〔方法〕気管支鏡検査前の説明に要した時間を調査し, 加えて1991年度に当科において実施された気管支鏡検査例の年齢・性別分布を調査した. 賃金センサス等の資料により死亡時の逸失利益等を試算し, 気管支鏡検査にともない死亡事故が発生した場合に生じる損失(リスク)を試算した. 平成4年度医師調査および賃金センサスに基づき, 勤務医の時間単価を試算し, 気管支鏡検査に伴うリスクと比較した. 〔結果〕気管支鏡検査のリスクは, 検査1件あたり3605円と試算された....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in気管支学 Vol. 17; no. 3; p. 31
Main Authors 長瀬啓介, 長谷川鎭雄, 大塚盛男, 内田義之, 井上雅樹, 佐藤浩昭, 二宮浩樹, 舩山康則, 森島祐子, 斉藤敏彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 1995
Online AccessGet full text
ISSN0287-2137

Cover

More Information
Summary:〔目的〕気管支鏡検査において, インフォームド・コンセントを実施することにより得られる便益と, 実施するために要する資源を比較評価する. 〔方法〕気管支鏡検査前の説明に要した時間を調査し, 加えて1991年度に当科において実施された気管支鏡検査例の年齢・性別分布を調査した. 賃金センサス等の資料により死亡時の逸失利益等を試算し, 気管支鏡検査にともない死亡事故が発生した場合に生じる損失(リスク)を試算した. 平成4年度医師調査および賃金センサスに基づき, 勤務医の時間単価を試算し, 気管支鏡検査に伴うリスクと比較した. 〔結果〕気管支鏡検査のリスクは, 検査1件あたり3605円と試算された. 一方, 勤務医の時間単価は賃金のみで1時間当たり5522円と試算された. 〔考察〕インフォームド・コンセントを得ることによりリスクが回避されると考えられるため, 説明に要する時間が39分以下であればインフォームド・コンセントの便益はコストを上回ると考えられた. 当科での説明時間の実態と併せて考察する.
ISSN:0287-2137