前交通動脈瘤を伴った右後頭動脈-椎骨動脈吻合の1例

51歳男子で前交通動脈瘤に右後頭-椎骨動脈吻合を伴った症例を報告した. 外頸(後頭動脈)-椎骨動脈吻合の報告症例を文献から集め, その吻合様式を三群に分けてみた. 本例(第二)群でみられた直接の吻合枝は, Lasjauniasらや鈴木らの仮説を考慮に入れると, 筋肉枝が後天的要因で発達したものではなく, 胎生期血管の一部の遺残の可能性がある.「はじめに」後頭動脈-椎骨動脈吻合(以下本吻合)は解剖学的な明瞭な記載にもかかわらず, 脳血管撮影で証明されることは比較的稀である1). 本吻合は閉塞性脳血管障害の症例2)に観察されるのみならず, なんら循環動態の変化を伴わない病態での報告も多い3). わ...

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Published in川崎医学会誌 Vol. 9; no. 4; pp. 388 - 391
Main Authors 中條節男, 深井博志, 大塚良一, 小川洋介, 菊岡政久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 川崎医学会 1983
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ISSN0386-5924

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Summary:51歳男子で前交通動脈瘤に右後頭-椎骨動脈吻合を伴った症例を報告した. 外頸(後頭動脈)-椎骨動脈吻合の報告症例を文献から集め, その吻合様式を三群に分けてみた. 本例(第二)群でみられた直接の吻合枝は, Lasjauniasらや鈴木らの仮説を考慮に入れると, 筋肉枝が後天的要因で発達したものではなく, 胎生期血管の一部の遺残の可能性がある.「はじめに」後頭動脈-椎骨動脈吻合(以下本吻合)は解剖学的な明瞭な記載にもかかわらず, 脳血管撮影で証明されることは比較的稀である1). 本吻合は閉塞性脳血管障害の症例2)に観察されるのみならず, なんら循環動態の変化を伴わない病態での報告も多い3). われわれは, 前交通動脈瘤の症例に本吻合を脳血管撮影で見出したので, その発生成因, 臨床的意義などについての考察を加え報告する. 症例 小○三○ 51歳 男子 右手利 B34320 1982年3月7日クモ膜下出血で発症. 3月10日入院した.
ISSN:0386-5924