左中頭蓋窩に原発したgiant cell tumorの1例

症例は36歳男性. 1979年11月より左側の耳鳴り, 聴力低下, 顔面非対称が進行し, 1982年4月27日当科入院. 左耳介前部に腫脹を認め, 左第V, VII, VIII脳神経障害を認めた. 頭蓋単純, 断層撮影で左の側頭骨鱗部, 中頭蓋窩底の骨欠損像, 錐体の破壊を認めた. 左外頸動脈撮影では, その分枝を栄養血管とし, 左中頭蓋窩を占拠する巨大な腫瘍のstainが明瞭に描出された. 脳シンチでは同部にRIの異常集積を認めた. Plain CTでは左中頭蓋窩に軽度高吸収域を呈し, 内部に低吸収域を示す腫瘍を認めた. Contrast CTでは内部の低吸収域を除き著明に増強された. 5月...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; p. 228
Main Authors 粟博志, 駒棚龍一郎, 門田紘輝, 山元国光, 朝倉哲彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1983
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Summary:症例は36歳男性. 1979年11月より左側の耳鳴り, 聴力低下, 顔面非対称が進行し, 1982年4月27日当科入院. 左耳介前部に腫脹を認め, 左第V, VII, VIII脳神経障害を認めた. 頭蓋単純, 断層撮影で左の側頭骨鱗部, 中頭蓋窩底の骨欠損像, 錐体の破壊を認めた. 左外頸動脈撮影では, その分枝を栄養血管とし, 左中頭蓋窩を占拠する巨大な腫瘍のstainが明瞭に描出された. 脳シンチでは同部にRIの異常集積を認めた. Plain CTでは左中頭蓋窩に軽度高吸収域を呈し, 内部に低吸収域を示す腫瘍を認めた. Contrast CTでは内部の低吸収域を除き著明に増強された. 5月19日, 頸部で外頸動脈を結紮後, 硬膜外に存在し内部にcystを有する腫瘍を亜全摘した. 病理診断は巨細胞腫であった. 1983年に腫瘍が再増大し, 同年3月18日再摘出した. 腫瘍の一部が残存したため術後5, 000radの放射線療法を行ったが, 照射による縮小は認めていない. なお全身骨の検索では他部位に異常を認めなかった.
ISSN:0470-8105