外転神経麻痺で発症したメッケル腔髄膜腫の1例

メッケル腔髄膜腫は髄膜腫中の1~4%を占めまれである. 多くは症候性三叉神経痛として数年の経過を有する. 今回, 外転神経麻痺と三叉神経領域のシビレ・痛みで急激な発症をみた1例を経験した. 症例は46歳女性. 来院約1ヵ月前, 複視と左顔面のシビレが出現, 痛みが急激に強くなったため入院. 入院時, 左外転神経麻痺, 左V_1 知覚鈍麻を認めた. 血管撮影にて左内頸動脈海綿静脈洞部後・外側部に腫瘍陰影を認めた. 側頭開頭, 硬膜外よりアプローチするに, 暗赤色の腫瘍をメッケル腔に認めたが, 海綿静脈洞に強く癒着していたため部分摘出に終った. 組織学的にはangioblastic meningi...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 23; no. suppl; p. 67
Main Authors 松元幹郎, 宍戸大, 柴田家門, 小名木敦雄, 寺尾栄夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1983
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ISSN0470-8105

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Summary:メッケル腔髄膜腫は髄膜腫中の1~4%を占めまれである. 多くは症候性三叉神経痛として数年の経過を有する. 今回, 外転神経麻痺と三叉神経領域のシビレ・痛みで急激な発症をみた1例を経験した. 症例は46歳女性. 来院約1ヵ月前, 複視と左顔面のシビレが出現, 痛みが急激に強くなったため入院. 入院時, 左外転神経麻痺, 左V_1 知覚鈍麻を認めた. 血管撮影にて左内頸動脈海綿静脈洞部後・外側部に腫瘍陰影を認めた. 側頭開頭, 硬膜外よりアプローチするに, 暗赤色の腫瘍をメッケル腔に認めたが, 海綿静脈洞に強く癒着していたため部分摘出に終った. 組織学的にはangioblastic meningiomaと診断された. 術後, 疼痛は軽快したが, 外転神経麻痺は残った. 術後約9ヵ月後の現在, 血管撮影での腫瘍陰影の増大に伴った動眼神経麻痺と左顔面全域の疼痛も出現している. このようにメッケル腔髄膜腫の中には, 急激な経過を取り治療に関して問題のある群がある. 症例を報告すると共に, 治療に関しての考察を加えた.
ISSN:0470-8105