頸椎後縦靱帯肥厚症の1例

今回我々は, 脊髄症状を呈した頸椎後縦靱帯肥厚のまれな1例を経験したので報告した. 症例は71才男性. 入院前に著しい体重減少を認め, 神経学的に四肢不全麻痺, 左Th_2 以下の知覚障害を認めた. レ線上OPLLは認めず, 脊髄造影検査にてC_4/5 椎間で前方硬膜外よりのblock所見, C_3/4 椎間で前方にdouble shadowを認めた. CT上, blockに一致した椎体後方に, 増強効果のないHunsfield number90~156の厚いmassを認めた. Myelo後CTでは, このmassによる脊髄圧迫所見を認めた. 悪性腫瘍転移を疑ったが確定診断に至らず, 生検の意...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. suppl; p. 82
Main Authors 倉田彰, 酒井英光, 川野信之, 大和田隆, 矢田賢三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1982
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Summary:今回我々は, 脊髄症状を呈した頸椎後縦靱帯肥厚のまれな1例を経験したので報告した. 症例は71才男性. 入院前に著しい体重減少を認め, 神経学的に四肢不全麻痺, 左Th_2 以下の知覚障害を認めた. レ線上OPLLは認めず, 脊髄造影検査にてC_4/5 椎間で前方硬膜外よりのblock所見, C_3/4 椎間で前方にdouble shadowを認めた. CT上, blockに一致した椎体後方に, 増強効果のないHunsfield number90~156の厚いmassを認めた. Myelo後CTでは, このmassによる脊髄圧迫所見を認めた. 悪性腫瘍転移を疑ったが確定診断に至らず, 生検の意味を含めC_4/5 2椎体, 1椎間の除圧および固定術を施行, 後縦靱帯の肥厚を認めた. 病理学的には, 靱帯線維の肥厚膨化, 一部に石灰沈着を認めたが, 新生骨形成機転を認めず, 後縦靱帯肥厚症と診断した. 後縦靱帯肥厚症はまれな疾患であるが, 腫瘍との鑑別は重要であり十分検索されるべきである点強調したい.
ISSN:0470-8105