ネコの中脳腹内側被蓋野(VMT)の電気刺激による不随意運動とそれに関与する神経路の検討

ネコの中脳ventro-medial tegmentum(VMT)の電気刺激により反対側へのhead turning, bucco-lingual movements, 前肢のchoreo-athetoid movementsが誘発される. 今回その部を通過する神経路の起始核を求めるために, 逆行性軸索流を利用したhorseradish peroxidase(HRP)法を使い, 前述のdyskinesiaとの関連を求めようとした. HRP(sigma typc VI)0.06μlをSnider-Niermerの図譜による(A-4,L-2,H-4)のVMTに注入し, 48時間後に灌流固定, 60...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 17; no. suppl; pp. 208 - 209
Main Authors 浅野拓, 吉村好和, 松本祐蔵, 村上昌穂, 大本堯史, 西本詮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1977
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ISSN0470-8105

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Summary:ネコの中脳ventro-medial tegmentum(VMT)の電気刺激により反対側へのhead turning, bucco-lingual movements, 前肢のchoreo-athetoid movementsが誘発される. 今回その部を通過する神経路の起始核を求めるために, 逆行性軸索流を利用したhorseradish peroxidase(HRP)法を使い, 前述のdyskinesiaとの関連を求めようとした. HRP(sigma typc VI)0.06μlをSnider-Niermerの図譜による(A-4,L-2,H-4)のVMTに注入し, 48時間後に灌流固定, 60μmの凍結切片を作成, Nissl染色を施し, 暗視野顕微鏡にて観察した. 反応細胞は尾状核頭部(dorsomedial part)に多く, caudal, ventralには少なく, 反対側小脳歯状核, 中位核にも多く認められ, 他には縫線核, 青斑核, 中心灰白質にも存在した. VMTとよく類似したdyskinesiaを起こしうる尾状核頭部(dorsomedial part)1:HRPを注入すると, 反応細胞は黒質内側pars compactaに多く, 視床(VA核, AV核, MD核, CM核)にもみられた. 小脳歯状核よりVMTへの投射が密であったことより, その部を慢性刺激してみると, 同側へのhead tilting, 前肢の伸展, 頸部筋の緊張亢進があり, VMTとの重複刺激により, 前肢のchoreo-athetoid movementsは明らかに増強したが, 口, 舌のdyskinesiaには影響はなく, また歯状核破壊後には前肢のchoreo-athetoid movementsは減弱した. 以上の結果より, VMTの刺激によるdyskinesiaの発現には, nigrostriatal pathwayの関与が大きいが, dentaterubro-thalamic pathwayも関与していると考えられる.
ISSN:0470-8105