STA-MCA anastomosisの手術適応に関する検討

STA-MCA anastomosisを行った閉塞性疾患の症例のうち, 頸動脈連続写の他に諸種の臨床検査を手術前後に行った20症例について, これらの検査結果からみた本手術法の適応と機能予後につき検討した. 対象患者における閉塞部位は, 頸部内頸動脈閉塞5例, 頭蓋内内頸動脈狭窄2例, 中大脳動脈M_1 起始部狭窄5例, 末梢枝閉塞8例であり, 手術は1例を除きすべて発症後5ヵ月以内に行われている. 術後2週間目に効果を判定し, 著効(2例), 有効(4例), やや有効(9例), 無効(5例)の4群とした. 手術効果を各検査結果よりみると, ^^99m Tc-scintigramでは, 術前,...

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Published inNeurologia medico-chirurgica Vol. 16; no. suppl; p. 108
Main Authors 大本堯史, 植田清隆, 馬場義美, 衣笠和孜, 景山敏明, 西本詮
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科学会 1976
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ISSN0470-8105

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Summary:STA-MCA anastomosisを行った閉塞性疾患の症例のうち, 頸動脈連続写の他に諸種の臨床検査を手術前後に行った20症例について, これらの検査結果からみた本手術法の適応と機能予後につき検討した. 対象患者における閉塞部位は, 頸部内頸動脈閉塞5例, 頭蓋内内頸動脈狭窄2例, 中大脳動脈M_1 起始部狭窄5例, 末梢枝閉塞8例であり, 手術は1例を除きすべて発症後5ヵ月以内に行われている. 術後2週間目に効果を判定し, 著効(2例), 有効(4例), やや有効(9例), 無効(5例)の4群とした. 手術効果を各検査結果よりみると, ^^99m Tc-scintigramでは, 術前, 比較的広い領域にわたる強いuptakeがみられた2例は無効であったが, 限局した淡いuptakeあるいはuptakeがみられなかった例では手術効果との相関は認められなかった. rCBF測定の結果すべての症例にCBF値の低下が認められたが, 臨床症状と対応する領域のrCBFが20ml/100g/min.以下の1例では手術の効果がみられなかった, しかし, 25ml/100g/min.以上のCBF値を有する症例では, 1例を除き, 術後に何らかの症状改善がえられた. 脳波所見では, 術前δ波あるいは局所性低電位(LVF)を示した3例はすべて無効であったが, θ波の存在と手術効果との相関はみられなかった. さらに運動準備電位が正常のpatternを呈した症例ではすべて有効ないし著効であったが, 障害側中心部で著しい低電位を示した症例では運動麻痺に対する効果が認められなかった. 以上より本手術後の機能予後を予知するうえで血管写所見, 臨床症状および手術時期などに加えて術前に諸種臨床検査をも検討する必要があると思われた.
ISSN:0470-8105