11.PDTを施行した胃癌の検討

現在までに当院でPDTを施行した胃癌は31例あり, 男24例女7例, 早期癌28例進行癌3例であった. 早期癌でPDTを適応した症例は全身麻酔が安全にかけられない場合と患者が強くPDTを希望した場合であった. いずれもEMRの対象からはずれ, リンパ節転移がないと思われる深達度SMまでの患者である. 進行癌の3例は心不全と超高齢(87才)そして食道癌術後の胃管に発生した癌の患者であった. 成績は早期癌28例中21例(75%)は治療後経過中一度も生検で癌組織が検出されずCRと判定しているが, 他の7例はPRとなった. このうち手術可能であった5例は胃切除術を施行し, 1例はPDTをくり返しもう1...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本レーザー医学会誌 Vol. 25; no. 2; p. 110
Main Authors 西脇由朗, 木田栄郎, 池松禎人, 脇慎治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本レーザー医学会 2004
Online AccessGet full text
ISSN0288-6200

Cover

More Information
Summary:現在までに当院でPDTを施行した胃癌は31例あり, 男24例女7例, 早期癌28例進行癌3例であった. 早期癌でPDTを適応した症例は全身麻酔が安全にかけられない場合と患者が強くPDTを希望した場合であった. いずれもEMRの対象からはずれ, リンパ節転移がないと思われる深達度SMまでの患者である. 進行癌の3例は心不全と超高齢(87才)そして食道癌術後の胃管に発生した癌の患者であった. 成績は早期癌28例中21例(75%)は治療後経過中一度も生検で癌組織が検出されずCRと判定しているが, 他の7例はPRとなった. このうち手術可能であった5例は胃切除術を施行し, 1例はPDTをくり返しもう1例はAPCで遺残病変を焼灼した. 進行癌の3例は腫瘍縮小を認めたものの根治には至らなかった. PDTの適応に関しては, 手術可能だが強くPDTを希望する患者に対しては適応を厳密にすべきで, 現在はEMRの対象からはずれ組織型が低分化でなく深達度SMまでで大きさが2cmまでのものとしている. これまでの経験より, リンパ節転移がないと思われる早期癌患者では印環細胞癌でなければ2cmを越えていてもPDTによってCRを目指すことが可能と考えられ, 全身麻酔が安全にかけられない患者に対してはPDTを考慮すべきと考える. 進行癌に関しては現在保険の制約があるが, 局所の癌縮小, 狭窄の解除, 出血の制御を目的とするならPDTの適応はある. 合併症はほとんど経験していないが, 唯一日光過敏症には注意が必要である.
ISSN:0288-6200