2. 洗浄血小板
【はじめに】近年, 輸血副作用に関して, 各種対策により感染症, 輸血後GVHDなど重篤な副作用は明らかに減少しているものの, 比較的軽微な免疫学的副作用は減少していない. 我々の調査(高本班)では, 血小板製剤(PC)による実患者当りの副作用頻度は13.6%と極めて高率であった. 即ち, 更なる安全な輸血療法のため, 洗浄PCなどの予防策を講じる必要がある. 今回, M-solution(M-sol)を用いた洗浄PCの臨床研究を中心に, その有用性, 課題などを報告する. 【方法】対象は2回以上副作用を生じた血液疾患症例(成人)とした. 洗浄と未洗浄PCを交互に2回ずつ投与するクロスオーバー...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 56; no. 6; p. 740 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
2010
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ISSN | 1881-3011 |
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Summary: | 【はじめに】近年, 輸血副作用に関して, 各種対策により感染症, 輸血後GVHDなど重篤な副作用は明らかに減少しているものの, 比較的軽微な免疫学的副作用は減少していない. 我々の調査(高本班)では, 血小板製剤(PC)による実患者当りの副作用頻度は13.6%と極めて高率であった. 即ち, 更なる安全な輸血療法のため, 洗浄PCなどの予防策を講じる必要がある. 今回, M-solution(M-sol)を用いた洗浄PCの臨床研究を中心に, その有用性, 課題などを報告する. 【方法】対象は2回以上副作用を生じた血液疾患症例(成人)とした. 洗浄と未洗浄PCを交互に2回ずつ投与するクロスオーバー式の前方視的比較試験を実施し, 洗浄PCの有用性を検討した. 【結果】対象症例は4例, 洗浄, 未洗浄PC投与は各々8, 7回であった. 1:洗浄PCの血小板回収率, 血漿除去率, pH, 平均血小板容積は各々平均94.4%, 93.9%, 7.11, 6.9と良好であった. 2:輸血効果は, 翌朝の補正血小板増加数が洗浄, 未洗浄PCで各々13,700, 14,000/μlと共に有効であった. 3:輸血副作用に関しては, 未洗浄PCで7回中1回に蕁麻疹が認められたが, 洗浄PCでは全く認められなかった. 【考察】洗浄PCの副作用軽減効果については症例数も十分でなく評価は時期尚早と考えるが, 少なくとも血小板回収率, 血漿除去率などに関して血小板製剤としては問題なく, また実際の輸血効果も対照と同様に認められ, 臨床的使用に十分応えられるものと判断された. 但し, 洗浄PC作製に当っては, M-sol作製を含めて全ての作業が手作業であり, 無菌接合装置, 真空包装機などの機器が必要であることから, 院内製剤として全てのPC輸血患者を対象とするには, 人的, 経済的な面から困難と思われる. |
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ISSN: | 1881-3011 |