3.輸血後感染症検査未実施例の解析

【はじめに】当院では, 1998年から輸血後感染症検査の実施率向上に取り組んできた. 2002年からは検査対象者の通知方法を変更し運用の根本的な見直しを行った結果, 実施率は飛躍的に向上した. この詳細は日本輸血学会雑誌, 第51巻第1号に「受血者を起点とした新しい輸血後感染症検査システムの有効性」として報告している. 【対象】我々は, 年6回開催される輸血療法委員会において輸血後感染症検査実施率を報告している. 2003年以降80%以上の実施率を維持しているが2005年度の月毎の実施率ではバラツキが大きく, 80%を下回る月も存在した. そこで, 輸血後感染症検査未実施例25例の実態を調査し...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 53; no. 1; p. 68
Main Authors 長峰誠一郎, 高橋昌子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血・細胞治療学会 2007
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Summary:【はじめに】当院では, 1998年から輸血後感染症検査の実施率向上に取り組んできた. 2002年からは検査対象者の通知方法を変更し運用の根本的な見直しを行った結果, 実施率は飛躍的に向上した. この詳細は日本輸血学会雑誌, 第51巻第1号に「受血者を起点とした新しい輸血後感染症検査システムの有効性」として報告している. 【対象】我々は, 年6回開催される輸血療法委員会において輸血後感染症検査実施率を報告している. 2003年以降80%以上の実施率を維持しているが2005年度の月毎の実施率ではバラツキが大きく, 80%を下回る月も存在した. そこで, 輸血後感染症検査未実施例25例の実態を調査し解析を行った. 【結果】25例中20例(80%)は院内での処理は適切に行われているものの, 患者が来院しないことが検査未実施の原因であることが判明した. また, 処理は適切に行われているが改善の余地があると考えられる4例(16%)と, 処理のミスが疑われる1例(4%)を発見した. 【考察】輸血後感染症検査未実施例では治療が完了した患者が来院しないことが主な原因であることが分かった. これらの例では院内の処理は適切に行われていたことから, 当院の輸血後感染症検査の通知システムは良好に機能していると考えられる. 今後は来院しない患者に対する対策を検討するとともに, 通知書発行後の運用面の改善にも取り組んで行きたいと考えている.
ISSN:1881-3011