P-147 自己血採血時の安全対策-脈拍数モニタリングの試み

(背景)自己血採血では血管迷走神経反射(VVR)などの合併症が認められることがある. 当部では1999年に502例945回, 2000年に552例947回の自己血採血を行い, それぞれ15回(1.59%, I度14回, II度1回), 8回(0.84%, I度7回, II度1回)でVVRを認めた. 2001年4月より, 安全対策強化の試みとして脈拍数の持続的モニタリングを行っているので報告する. (方法)Moneo BP-88Si(日本コーリン)を用い, 採血に使用していない側の第2指にパルスオキシメーターのプローブを装着した. 脈拍数の低値アラームは50/分に設定し, 採血開始より終了まで測...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 48; no. 2; p. 228
Main Authors 永井香織, 増田智子, 青木綾子, 大石裕紀子, 馬場佳子, 大友直樹, 梶原道子, 小松文夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 2002
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Summary:(背景)自己血採血では血管迷走神経反射(VVR)などの合併症が認められることがある. 当部では1999年に502例945回, 2000年に552例947回の自己血採血を行い, それぞれ15回(1.59%, I度14回, II度1回), 8回(0.84%, I度7回, II度1回)でVVRを認めた. 2001年4月より, 安全対策強化の試みとして脈拍数の持続的モニタリングを行っているので報告する. (方法)Moneo BP-88Si(日本コーリン)を用い, 採血に使用していない側の第2指にパルスオキシメーターのプローブを装着した. 脈拍数の低値アラームは50/分に設定し, 採血開始より終了まで測定した. VVRを認めた症例では, 定期的血圧測定も行った. (結果)2001年4~11月に382例586回の採血を行い, 17回(2.80%, I度7回, II度10回)のVVRが認められた. 脈拍数に基づくVVRの重症度の把握が容易であり, これに応じて直ちに必要な処置をとることができた. 以前に比しII度症例の比率が高いが, 非モニタリング時には, 下肢挙上などの処置を優先し, 最も変化の強い時期の脈拍, 血圧は測定できないため, 重症度を過小評価していた可能性もある. VVR発生例では血圧測定も併せて行うことで, 十分な安静時間を設けることにも役立った. 一方, I度の症例では, 冷汗や嘔気などのVVRの症状があっても脈拍数は50/分以上に保たれており, この方法では発見できない場合があった. 不整脈や徐脈傾向のある症例では, 採血中に脈拍数50/分以下となっても, VVRの症状は認められなかった. (考察)パルスオキシメーターによるモニタリングは, 小型のプローブで行えるため, 心理的圧迫感が少ない. 本法により, VVRの発生を早期に見いだし, 重症度に応じた対応が速やかにとれるようになった. しかし, 軽症例では, 脈拍や血圧の変動よりも自覚症状が強い場合があり, 医療スタッフによる観察の重要性は変わらないと考えられた.
ISSN:0546-1448