O-005 リストバンドを用いたベッドサイドでの血液製剤照合システムの試験的運用経験
(目的)ABO型不適合輸血事故調査および対策チームの報告によれば, 調査に回答した病院の約20%が異型輸血を経験しており, 原因はバッグの取り違え(42.8%)が第一位を占め, 時間帯では時間外が60.2%, 緊急性の有無では緊急輸血時が47.0%であると報告している. 今回我々は, 無線LANによるリストバンドを介したベッドサイドでの輸血照合システム(BTQuery)を試験的に導入し, その使用経験を得たので報告する. (方法)輸血科と救命救急センターをイントラネットで結び, 輸血科のコンピュータ(BTD5)をデータベースとして活用した. 輸血科には, 全自動輸血検査装置Auto Vueが2...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 48; no. 2; p. 129 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
2002
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | (目的)ABO型不適合輸血事故調査および対策チームの報告によれば, 調査に回答した病院の約20%が異型輸血を経験しており, 原因はバッグの取り違え(42.8%)が第一位を占め, 時間帯では時間外が60.2%, 緊急性の有無では緊急輸血時が47.0%であると報告している. 今回我々は, 無線LANによるリストバンドを介したベッドサイドでの輸血照合システム(BTQuery)を試験的に導入し, その使用経験を得たので報告する. (方法)輸血科と救命救急センターをイントラネットで結び, 輸血科のコンピュータ(BTD5)をデータベースとして活用した. 輸血科には, 全自動輸血検査装置Auto Vueが24時間体制で稼動しており, BTD5とのオンラインにより結ばれている. 救命救急センターにおいて, リストバンド上の患者血型および患者自身の情報を輸血科のBTD5により照合, その照合結果をベッドサイドのノート型パソコンの画面で照合する方法を用いた. なお, 安全性を考え, 人によるダブルチェツクも同時に実施した. これら一連の照合業務の記録は輸血科のコンピュータに貯蔵した. 現在までに半年強を経て, 433名, 1199件(10/9現在)の臨床応用例を得た. (結果)このシステムは, 臨床的にさほど煩雑な操作や熟練度を要さず, 少しの訓練により医療従事者に容易に受け入れられた. 1199件での試みについて, 人によるダブルチェツクとの照合の相違は一件もなく, 信頼度が高いことがわかった. (考察)医療のインテリジェント化が注目を浴びる中, 我々はリストバンドと無線LANを用いた輸血時の患者確認と血型照合を行う試みを行い, その臨床応用が導入可能であり, 充分な信頼性を持つことを確認した. しかし, その導入には, 設備の新設やその運用に伴う経済的問題点(保険点数の裏付けがない)などがあることも考慮すべきであろう. |
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ISSN: | 0546-1448 |