日本人のRhD^IVb の“Gene Conversion”Point

緒言 既に報告されているRhD^IVb は, RHD遺伝子のexon7の途中からexton9までがRHCE遺伝子の配列に置き換わっている. 今回我々は, 日本人由来のRhD^IVb の塩基配列を調べ, 既報のものとは異なる配列が得られたので報告する. 方法 血清学的にRhD^IVb とタイプされた2検体の末梢血から網赤血球を分離した後, mRNAを抽出し, cDNAを合成した. 翻訳領域の上流・下流にそれぞれprimerを設定し, PCR増幅, クローニングを行った. 特異的primerによるPCR増幅の有無によりRHDのクローンを選択し, 翻訳領域の全塩基配列を決定した. 結果と考察 cDN...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 45; no. 2; p. 184
Main Authors 兵藤博信, 石川善英, 柏瀬貢一, 小川篤子, 渡辺嘉久, 常山初江, 豊田智津, 内川誠, 赤座達也, 藤井知行, 上妻志郎, 武谷雄二, 十字猛夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 1999
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Abstract 緒言 既に報告されているRhD^IVb は, RHD遺伝子のexon7の途中からexton9までがRHCE遺伝子の配列に置き換わっている. 今回我々は, 日本人由来のRhD^IVb の塩基配列を調べ, 既報のものとは異なる配列が得られたので報告する. 方法 血清学的にRhD^IVb とタイプされた2検体の末梢血から網赤血球を分離した後, mRNAを抽出し, cDNAを合成した. 翻訳領域の上流・下流にそれぞれprimerを設定し, PCR増幅, クローニングを行った. 特異的primerによるPCR増幅の有無によりRHDのクローンを選択し, 翻訳領域の全塩基配列を決定した. 結果と考察 cDNAを解析した2検体はいずれもexon7からexon9まですべてがRHCE遺伝子に置き換わっており, 既報のRhD^IVb とは異なった. そこで, この2検体を含むRhD^IVb 5検体, 及びnormal D1検体から得たgenomic DNAを用い, exon6側をD specific, exon7側をD及びCE specificなprimerとしたPCRでintron6の増幅を試みた. 双方D specificなPCRでは, normal Dのみで増幅がみられたが, exon7側をCE specificとしたPCRでは, normal Dの検体では増幅がみられず, RhD^IVb 5検体では, いずれも同様なサイズのPCR産物が得られた. さらに, DとCEの配列が置き換わっている点を明らかにするため, intron6の塩基配列を解析した. その結果exon6側はDの, exon7側はCEの配列であり, exon6側から数えて, 361bpから967bpの間で, DからCEに置き換わっていることがわかった. 以上より, 今回解析を行った日本人由来のRhD^IVb 5検体はいずれも, 既報のRhD^IVb とは異なる新しいvariantと考えられた.
AbstractList 緒言 既に報告されているRhD^IVb は, RHD遺伝子のexon7の途中からexton9までがRHCE遺伝子の配列に置き換わっている. 今回我々は, 日本人由来のRhD^IVb の塩基配列を調べ, 既報のものとは異なる配列が得られたので報告する. 方法 血清学的にRhD^IVb とタイプされた2検体の末梢血から網赤血球を分離した後, mRNAを抽出し, cDNAを合成した. 翻訳領域の上流・下流にそれぞれprimerを設定し, PCR増幅, クローニングを行った. 特異的primerによるPCR増幅の有無によりRHDのクローンを選択し, 翻訳領域の全塩基配列を決定した. 結果と考察 cDNAを解析した2検体はいずれもexon7からexon9まですべてがRHCE遺伝子に置き換わっており, 既報のRhD^IVb とは異なった. そこで, この2検体を含むRhD^IVb 5検体, 及びnormal D1検体から得たgenomic DNAを用い, exon6側をD specific, exon7側をD及びCE specificなprimerとしたPCRでintron6の増幅を試みた. 双方D specificなPCRでは, normal Dのみで増幅がみられたが, exon7側をCE specificとしたPCRでは, normal Dの検体では増幅がみられず, RhD^IVb 5検体では, いずれも同様なサイズのPCR産物が得られた. さらに, DとCEの配列が置き換わっている点を明らかにするため, intron6の塩基配列を解析した. その結果exon6側はDの, exon7側はCEの配列であり, exon6側から数えて, 361bpから967bpの間で, DからCEに置き換わっていることがわかった. 以上より, 今回解析を行った日本人由来のRhD^IVb 5検体はいずれも, 既報のRhD^IVb とは異なる新しいvariantと考えられた.
Author 常山初江
渡辺嘉久
石川善英
藤井知行
武谷雄二
小川篤子
赤座達也
内川誠
豊田智津
十字猛夫
柏瀬貢一
兵藤博信
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