モノクローナル抗体カラム法にて製造された高純度第VIII因子製剤(RCG-11)の生化学的性状について
【目的】日赤では国内で献血された血液を原材料としてバクスター社より導入したモノクローナル抗体(MoAb)カラム法により高純度第VIII因子製剤(RCG-11)を試験製造している. 今回, 製造したRCG-11中の第VIII因子に関して生化学的諸性質を調べ, すでに臨床使用されているバクスター社製剤(ヘモフィルM500)と比較検討したので報告する. 【方法】製剤:高純度第VIII因子製剤はRCG-11(500U/vial, Lot. 2MX002, 005, 008)を用いた. 第VIII因子のイムノブロッテイング:RCG-11をSephacryl S-300を用いてゲルろ過した後, そのボイド...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 37; no. 2; p. 323 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
1991
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 【目的】日赤では国内で献血された血液を原材料としてバクスター社より導入したモノクローナル抗体(MoAb)カラム法により高純度第VIII因子製剤(RCG-11)を試験製造している. 今回, 製造したRCG-11中の第VIII因子に関して生化学的諸性質を調べ, すでに臨床使用されているバクスター社製剤(ヘモフィルM500)と比較検討したので報告する. 【方法】製剤:高純度第VIII因子製剤はRCG-11(500U/vial, Lot. 2MX002, 005, 008)を用いた. 第VIII因子のイムノブロッテイング:RCG-11をSephacryl S-300を用いてゲルろ過した後, そのボイドフラクションを濃縮し, サンプル(約1000U/ml)として用いた25μlの非還元サンプルを4-20%のSDS-PAGEにかけ, その後25V, 2hrの通電にてニトロセルロース膜に転写した. 一次抗体は抗F VIIIL鎖MoAb混合液(化血研より分与;7-118, 14-182)を用い, ECL Detection Kit(Amersham)にて検出を行った. 第VIII因子凝固活性の測定:製剤を0.025U/mlに希釈した後, 第VIII因子欠乏血漿を用いた凝固一段法にて行った. 第VIII因子抗原量の測定:製剤を0.025U/mlに希釈した後, 抗F VIIIL鎖MoAb固相プレートを用いEIA法にて行った. 【結果】RCG-11中のF VIIIL鎖は80kDに2本のバンドを有し, トロンビン処理によりそのバンドは消失した. ロット間に差は認められなかった. ヘモフィルM500においても同様の結果が得られた. また, RCG-11に含まれる第VIII因子凝固活性と第VIII因子抗原量の比(F VIII: Ag/F VIII:C)は0.80-1.11とヘモフィルM500とほぼ同等の値であった. 【まとめ】RCG-11について生化学的諸性質を調べ, ヘモフィルM500と比較検討した. RCG-11に含まれる第VIII因子の性状はヘモフィルM500とほぼ同等であった. したがって, 試験製造のRCG-11は安全に臨床使用されうるものと考えられた. |
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ISSN: | 0546-1448 |