わが国におけるreference laboratoryの現状
わが国ではreference laboratolyは未だ制度化されていない. 抗体スクリーニングや交差適合試験で検出はしたが同定が困難な検体に遭遇したと場合最近では大体各地の血液センターに持ち込まれる場合が多いようであるが, 最終的確認は大阪血液センターに送られる. 現在, 大阪血液センターが赤十字のなかではrefersence center的役割を担っていると自負している. そこで過去5年間に大阪血液センターに全国から同定依頼された検体数(別に大阪府下医療機関からのものが865検体あるが, これは輸血サービスとの関連もあるのでここでは除く)は814でそのうち抗Jr^a が180(22.1%)...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 34; no. 2; p. 172 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
1988
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Summary: | わが国ではreference laboratolyは未だ制度化されていない. 抗体スクリーニングや交差適合試験で検出はしたが同定が困難な検体に遭遇したと場合最近では大体各地の血液センターに持ち込まれる場合が多いようであるが, 最終的確認は大阪血液センターに送られる. 現在, 大阪血液センターが赤十字のなかではrefersence center的役割を担っていると自負している. そこで過去5年間に大阪血液センターに全国から同定依頼された検体数(別に大阪府下医療機関からのものが865検体あるが, これは輸血サービスとの関連もあるのでここでは除く)は814でそのうち抗Jr^a が180(22.1%), Rh系抗体175(21.5%)で圧倒的に多くほかはHell系, Diego系, MNSs系では5~6%程度である. 勿論検体数は少ないが稀な血液型に属する抗体や複雑な混合抗体に遭遇することもある. これらの検体全てが輸血副作用に直接結びつくとは限らないが, 無視してよいと即断することは大変難しい. ただrefcrence laboratoryとしては輸血検査サービスとの兼ね合いもあり患者検体では大変気を使うこともある. また同定だけを行なっても血液の供給も無視出来ないので, reference centerとしては同時に供給面も考える必要がある. 例えば, 上記5年間に供給された稀な血液型の血液は, 1.605単位(解凍赤血球を含む)であり, そのうちJr(a-)655単位(40.8%), Fy(a-)483単位(30.1%), Di(a+b-)226単位(14.1%)であって3者で85%を占めているが, これらはドナー登録が進んだ今日では供給も可能である. しかし頻度の低い血液型に関連した抗体ほど同定も難しく, しかも供給も容易ではない. 場合によっては国際間の協力を得る必要も生じてくる. したがって, reference laboratory間の連絡を密にすることも大切なことである. 最後に, 同定を依頼される場合は自家試験のデータを添えて送付されることを希望したい. |
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ISSN: | 0546-1448 |