I-P3-15 中途脳機能障害児への重心施設と養護学校の連携による摂食・嚥下リハビリテーション(保護者という有能なコーディネーターを得て)
【目的】中途脳機能障害児におけるリハビリテーションの重要性に関して, 重心病棟で対応した低酸素性脳症のケースを報告する. 「重心病棟から養護学校の通学」と「口から食べる」という保護者の要望を達成するために, 保護者がコーディネーターを担い, 重心病棟と養護学校がひとつのリハビリテーションチームとして連携できた. 【対象と方法】Angelman症候群の男児, 窒息による低酸素性脳症発症(8才時)以降, 経管栄養が施行されていた. 受傷後2か月目に嵐山郷重心棟に入所した. 脳症後遺症としての頻発するてんかん発作, 意識障害等で摂食, 嚥下リハビリテーションが難渋したが, チーム(病棟及び歯科スタッ...
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Published in | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 9; no. 3; pp. 343 - 344 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会
2005
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ISSN | 1343-8441 |
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Summary: | 【目的】中途脳機能障害児におけるリハビリテーションの重要性に関して, 重心病棟で対応した低酸素性脳症のケースを報告する. 「重心病棟から養護学校の通学」と「口から食べる」という保護者の要望を達成するために, 保護者がコーディネーターを担い, 重心病棟と養護学校がひとつのリハビリテーションチームとして連携できた. 【対象と方法】Angelman症候群の男児, 窒息による低酸素性脳症発症(8才時)以降, 経管栄養が施行されていた. 受傷後2か月目に嵐山郷重心棟に入所した. 脳症後遺症としての頻発するてんかん発作, 意識障害等で摂食, 嚥下リハビリテーションが難渋したが, チーム(病棟及び歯科スタッフ, 理学療法士, 栄養士)が対応し, 経口摂取への移行をめざした. 入所1年後, 養護学校の通学と給食経口摂取施行を目的に, 複数の手段で養護学校職員, 学校指導医と詳細な情報交換をした. この際の連絡調整を保護者が担当した. 【結果】脳症罹患2年目に3食(ゼリー, ペースト)経口摂取可能となり, 終日チューブフリーに至る. 【考察】1. 低酸素性脳症後遺症小児ケースに1年間の摂食嚥下リハビリテーションで完全チューブフリー下の経口摂取を可能にした. 2. 安全な経口摂取を目的に, 保護者(家族)をコーディネーターとして重心病棟と養護学校の連携できたが, 連帯意識の強化が必要である 3. 経口摂取の継続には全身状態の管理(睡眠, てんかん, 疲労の調整, 感染防止)が必須であり, 専門職としてこれを提供していく 4. 家族の思いと専門職の意識の温度差は存在するが, それを適度な危機管理に転ずる努力が必要である. |
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ISSN: | 1343-8441 |