375 回復期リハビリテーション病棟における訓練実施場所に関する調査

当院回復期リハビリテーション病棟は, 病棟専属制をとっており, 早期のADL能力向上や在宅復帰を目指している. その中で, そのアプローチが適切かどうかを整理検討することは重要であり, 今回は理学療法実施の環境に着目し, 実施場所に関する調査を行ったので若干の考察を加えて報告する. 1)訓練実施場所:平成14年8月から平成15年9月までに当院へ入院した脳卒中片麻痺患者の内, 調査可能であった117名を対象とし, 各対象者の理学療法を行っている場所を訓練室, 病棟, 訓練室と病棟の併用, 屋外の4つに分類し, 90日間調査した. 2)アンケート調査:当院に勤務するPT36名, OT39名を対象と...

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Published in理学療法学 Vol. 31; no. suppl-2.1; p. 188
Main Authors 生野達也, 松村文雄, 中島龍星, CVD評価プロジェクト委員会
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士協会 2004
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Abstract 当院回復期リハビリテーション病棟は, 病棟専属制をとっており, 早期のADL能力向上や在宅復帰を目指している. その中で, そのアプローチが適切かどうかを整理検討することは重要であり, 今回は理学療法実施の環境に着目し, 実施場所に関する調査を行ったので若干の考察を加えて報告する. 1)訓練実施場所:平成14年8月から平成15年9月までに当院へ入院した脳卒中片麻痺患者の内, 調査可能であった117名を対象とし, 各対象者の理学療法を行っている場所を訓練室, 病棟, 訓練室と病棟の併用, 屋外の4つに分類し, 90日間調査した. 2)アンケート調査:当院に勤務するPT36名, OT39名を対象とし, 病棟や訓練室で実施する目的, 訓練室及び病棟のメリットとデメリットについて自由記載で調査した. 1)理学療法実施場所: 理学療法実施回数の合計8260回の内, PT室3873回(47%), 病棟1876回(23%), 訓練室と病棟の併用2251回(27%), 屋外260回(3%)であった. 2)アンケート調査: 訓練室使用の目的は, PTでは「機能面へのアプローチ」が36名中28名77.8%と多く, OTでは「在宅生活における環境設定での訓練評価」が39名中31名79.5%と多くを締めた. 病棟使用の目的は, PTでは「病棟ADL能力の直接的な向上」が22名61.1%と多く, 以下「病棟ADL評価」等があり, OTでは「病棟ADL能力の直接的な向上」が32名82.1%と多くを締めた. 訓練室使用のメリットはPTでは「物品の使用可能」が36名中26名72.2%と多く, 以下「PT間の教育が可能」等があり, デメリットは「病棟ADLへのアプローチ困難」が25名69.4%であった. 病棟使用のメリットはPTでは「病棟ADLへのアプローチ可能」が28名77.8%と多く, 以下「他職種との情報交換が可能」等があり, OTでは「他職種との情報交換が可能」が39名中29名74.4%と多く, 以下「病棟ADLへのアプローチ可能」等があった. 理学療法実施場所としては, PT室が47%であり, その要因としては, 物品等を利用することで, 主に機能面の向上を目的とする事が多く, 症例を通じてPT同士がディスカッションするという教育的要素もあると考えた. また, PT室で実施する際にも起居移乗動作を含めた送迎より関わっており, 訓練室使用のデメリットを補っているものと考えた. 病棟はPT室との併用を含め50%であり, 病棟ADL能力の評価とともに, 「できるADL」を「しているADL」へ反映させるアプローチを行っているものと考えた. また, 病棟ではPTOT共に他職種との情報交換を行う意識が高く, チーム内における問題点や目標の共有化に繋がっていると考えた. 従って, PTが場所を選択する際には, 患者の機能面へのアプローチのみならず, ADLや他職種との情報交換等を含めた中で選択していくことが重要と考えた.
AbstractList 当院回復期リハビリテーション病棟は, 病棟専属制をとっており, 早期のADL能力向上や在宅復帰を目指している. その中で, そのアプローチが適切かどうかを整理検討することは重要であり, 今回は理学療法実施の環境に着目し, 実施場所に関する調査を行ったので若干の考察を加えて報告する. 1)訓練実施場所:平成14年8月から平成15年9月までに当院へ入院した脳卒中片麻痺患者の内, 調査可能であった117名を対象とし, 各対象者の理学療法を行っている場所を訓練室, 病棟, 訓練室と病棟の併用, 屋外の4つに分類し, 90日間調査した. 2)アンケート調査:当院に勤務するPT36名, OT39名を対象とし, 病棟や訓練室で実施する目的, 訓練室及び病棟のメリットとデメリットについて自由記載で調査した. 1)理学療法実施場所: 理学療法実施回数の合計8260回の内, PT室3873回(47%), 病棟1876回(23%), 訓練室と病棟の併用2251回(27%), 屋外260回(3%)であった. 2)アンケート調査: 訓練室使用の目的は, PTでは「機能面へのアプローチ」が36名中28名77.8%と多く, OTでは「在宅生活における環境設定での訓練評価」が39名中31名79.5%と多くを締めた. 病棟使用の目的は, PTでは「病棟ADL能力の直接的な向上」が22名61.1%と多く, 以下「病棟ADL評価」等があり, OTでは「病棟ADL能力の直接的な向上」が32名82.1%と多くを締めた. 訓練室使用のメリットはPTでは「物品の使用可能」が36名中26名72.2%と多く, 以下「PT間の教育が可能」等があり, デメリットは「病棟ADLへのアプローチ困難」が25名69.4%であった. 病棟使用のメリットはPTでは「病棟ADLへのアプローチ可能」が28名77.8%と多く, 以下「他職種との情報交換が可能」等があり, OTでは「他職種との情報交換が可能」が39名中29名74.4%と多く, 以下「病棟ADLへのアプローチ可能」等があった. 理学療法実施場所としては, PT室が47%であり, その要因としては, 物品等を利用することで, 主に機能面の向上を目的とする事が多く, 症例を通じてPT同士がディスカッションするという教育的要素もあると考えた. また, PT室で実施する際にも起居移乗動作を含めた送迎より関わっており, 訓練室使用のデメリットを補っているものと考えた. 病棟はPT室との併用を含め50%であり, 病棟ADL能力の評価とともに, 「できるADL」を「しているADL」へ反映させるアプローチを行っているものと考えた. また, 病棟ではPTOT共に他職種との情報交換を行う意識が高く, チーム内における問題点や目標の共有化に繋がっていると考えた. 従って, PTが場所を選択する際には, 患者の機能面へのアプローチのみならず, ADLや他職種との情報交換等を含めた中で選択していくことが重要と考えた.
Author 中島龍星
生野達也
松村文雄
CVD評価プロジェクト委員会
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