超音波治療が石灰沈着腱炎に与える影響
超音波(u/s)治療が脈管形成促進, 線維芽細胞へのカルシウム摂取増大を起こすとされているが, 石灰沈着性腱炎に対する報告は少ない. そこで今回, 石灰沈着性腱炎に対して運動療法にu/s治療を加えた群(u/s群)と運動療法のみを実施した群(non-u/s群)とに分類し, x線画像上での石灰の変化を捉え, 若干の知見を得たので報告する. 【対象】 1997年4月から1999年10月までに処方のあった石灰沈着性腱炎16名とした. 【方法】 u/s群とnon-u/s群に分類し, 石灰の特徴と改善程度をGartnerらの分類に従って分類した. Type Iは境界が鮮明で濃く写っている石灰・Type I...
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Published in | 理学療法学 Vol. 27; no. suppl-2; p. 16 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本理学療法士協会
2000
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ISSN | 0289-3770 |
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Summary: | 超音波(u/s)治療が脈管形成促進, 線維芽細胞へのカルシウム摂取増大を起こすとされているが, 石灰沈着性腱炎に対する報告は少ない. そこで今回, 石灰沈着性腱炎に対して運動療法にu/s治療を加えた群(u/s群)と運動療法のみを実施した群(non-u/s群)とに分類し, x線画像上での石灰の変化を捉え, 若干の知見を得たので報告する. 【対象】 1997年4月から1999年10月までに処方のあった石灰沈着性腱炎16名とした. 【方法】 u/s群とnon-u/s群に分類し, 石灰の特徴と改善程度をGartnerらの分類に従って分類した. Type Iは境界が鮮明で濃く写っている石灰・Type IIは境界が鮮明か濃く写っている石灰, Type IIIは境界が不鮮明で半透明の石灰である. 改善程度は, Score1が変化なし, Score2が半分以上の面積減少および濃度の減少, Score3が石灰の完全消失である. u/s治療器はPTI社製Omnisound300Cで, 1.0~1.9W/cm^2 , 3.0MHz, 連続波で有効輻射面積の約2倍に10分間, 移動法で照射した. 【結果】1. u/s群 u/s群は11名であり, 棘上筋(SSP)単独が8名, 他はSSPと肩甲下筋(SBS), SBSと上腕二頭筋長頭筋腱(LHB), LHBのみで, 各々1名であった. 初期評価時は, SSPではType I, 5名, Type III, 4名, SBSではType I, 1名, Type III, 1名, LHBではType I, II各々1名であった. 最終評価時では, Score3がType I SSP, 2名, Type III SSP, 4名, Type I SBS, 1名, Type III SBS, 1名, Type I LHB, 1名, Type II LHB, 1名であった. Score2はType I SSP, 3名であった. 2. non-u/s群 non-u/s群は5名で, すべてSSPであった. 初期評価時はType II, 1名, Type III, 4名であった. 最終評価時では, score3がType III, 2名, Score2はType III, 2名, Score1はType II, 1名であった. 【考察】 u/s群では, 自然治癒しにくいType I, IIのSSP2名, SBS1名, LHB2名の石灰が完全に消失している. non-u/s群のType II, SSPl名は変化せず, Type III, SSP2名も石灰が消失していない. これらから, u/s治療効果があったと考える. Type IでもSSP, SBS, LHBで改善に差があったのは, その循環に差があったためと考える. u/s群のType I, SSP2名とSBS1名にはScore2になるまでに31~42回のu/s照射を実施していて, その後27~67回u/s照射を実施したが変化はなかった. 従って, 30~40同程度のu/s治療が石灰沈着性腱炎には望ましくそれ以上のu/s治療の実施には疑問が残ると考察する. |
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ISSN: | 0289-3770 |