脊髄損傷後の上肢痛に星状神経節ブロックが奏効した1例

症例:62歳, 男性. 庭木手入れ中3mの高さから転落し中心性脊髄損傷による不全麻痺と診断された. メチルプレドニゾロン大量療法などが施行された. 受傷4ヵ月後には松葉杖歩行まで可能となったが, 両肩から両上肢全体にしびれ, 疼痛が増強してきたためペインクリニック外来紹介となった. 初診時, 両上肢全体にしびれおよび疼痛が認められた. 疼痛はピリピリとした持続痛であり, 触刺激にてアロディニアが誘発された. また両上肢および前胸部以下には知覚鈍麻も認められた. 求心路遮断疼痛と診断し治療を開始した. 星状神経節ブロックを左右交互に週4回施行した. 治療開始翌日にはしびれおよび疼痛は半減し, 2...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 7; no. 4; p. 40
Main Authors 河嶋朗, 松永亜希, 西憲一郎, 田中道子, 三木智章, 稲田耕三, 河内正治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 2000
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ISSN1340-4903

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Summary:症例:62歳, 男性. 庭木手入れ中3mの高さから転落し中心性脊髄損傷による不全麻痺と診断された. メチルプレドニゾロン大量療法などが施行された. 受傷4ヵ月後には松葉杖歩行まで可能となったが, 両肩から両上肢全体にしびれ, 疼痛が増強してきたためペインクリニック外来紹介となった. 初診時, 両上肢全体にしびれおよび疼痛が認められた. 疼痛はピリピリとした持続痛であり, 触刺激にてアロディニアが誘発された. また両上肢および前胸部以下には知覚鈍麻も認められた. 求心路遮断疼痛と診断し治療を開始した. 星状神経節ブロックを左右交互に週4回施行した. 治療開始翌日にはしびれおよび疼痛は半減し, 2週間後には疼痛は消失した. 結語:求心路遮断疼痛に交感神経ブロックは, ほとんど効果は示さないと言われているが, 本症例では星状神経節ブロックが奏効した. 受傷5ヵ月より星状神経節ブロックを開始し, 慢性疼痛を軽減させ日常生活を不自由なく送れるようになった.
ISSN:1340-4903