S-4 急性肺塞栓症に対するカテーテル治療の現況

広範型の急性肺塞栓症への標準治療は血栓溶解療法であるが, 血栓溶解療法が無効な場合や血栓溶解療法が禁忌である場合も少なくない. これらの病態にはカテーテル治療が適応になる. カテーテル治療の利点は, 迅速に肺血流改善や肺動脈圧低下が得られること1)~3), 血栓塞栓の範囲, 量に合わせて手技の選択や血栓溶解薬量の調節が可能なことである(表1). 当施設でのt-PA(monteplase)投与連続50例の検討では, 通常量の45%で効果が得られていた3). 血栓溶解療法が禁忌であれば, 血栓破砕・吸引術のみを行い, 禁忌でなければ出血リスクに応じて血栓溶解薬投与を併用する. 少量でも血栓溶解薬を...

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Published in心臓 Vol. 45; no. 7; pp. 919 - 920
Main Authors 山本剛, 村田智, 田島廣之, 田中啓治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団・日本循環器学会 15.07.2013
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Summary:広範型の急性肺塞栓症への標準治療は血栓溶解療法であるが, 血栓溶解療法が無効な場合や血栓溶解療法が禁忌である場合も少なくない. これらの病態にはカテーテル治療が適応になる. カテーテル治療の利点は, 迅速に肺血流改善や肺動脈圧低下が得られること1)~3), 血栓塞栓の範囲, 量に合わせて手技の選択や血栓溶解薬量の調節が可能なことである(表1). 当施設でのt-PA(monteplase)投与連続50例の検討では, 通常量の45%で効果が得られていた3). 血栓溶解療法が禁忌であれば, 血栓破砕・吸引術のみを行い, 禁忌でなければ出血リスクに応じて血栓溶解薬投与を併用する. 少量でも血栓溶解薬を使用したほうが効率は高い1). ただし, 多施設前向き無作為試験により4), 肺動脈内へのt-PA投与は末梢静脈からの投与と治療効果に差はなく, 単にカテーテルを肺動脈に誘導し血栓溶解薬を局所投与すべきではない.
ISSN:0586-4488