ヒトへの末梢血管再生療法

本日は, 私どもが4年程前から始めている「自己骨髄細胞移植による末梢血管再生療法」についてご紹介させていただきます. ヒトは血管とともに老いるというWilliam Osler先生の有名な言葉があります. これからわが国は未曾有の高齢化社会を迎えるわけですが, 高齢者を診ていくということは, 血管の老化を診ていくということになります. 血管の老化, すなわち動脈硬化による疾患の代表とし, 3大血管病というものがあります. 脳血管障害, 冠動脈疾患, それと本日の主題となる閉塞性動脈硬化症という病気です. この閉塞性動脈硬化性というのは, 糖尿病, 高血圧, 高脂血症, 喫煙などの危険因子により,...

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Published in心臓 Vol. 37; no. 3; pp. 259 - 260
Main Author 池田宇一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団 2005
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Summary:本日は, 私どもが4年程前から始めている「自己骨髄細胞移植による末梢血管再生療法」についてご紹介させていただきます. ヒトは血管とともに老いるというWilliam Osler先生の有名な言葉があります. これからわが国は未曾有の高齢化社会を迎えるわけですが, 高齢者を診ていくということは, 血管の老化を診ていくということになります. 血管の老化, すなわち動脈硬化による疾患の代表とし, 3大血管病というものがあります. 脳血管障害, 冠動脈疾患, それと本日の主題となる閉塞性動脈硬化症という病気です. この閉塞性動脈硬化性というのは, 糖尿病, 高血圧, 高脂血症, 喫煙などの危険因子により, 主に下肢の動脈, すなわち腸骨動脈, 大腿動脈, 膝窩動脈といった動脈に狭窄, 閉塞を来す疾患です. 閉塞性動脈硬化症というのは, あまり先生方に馴染みがない疾患かもしれませんが, 欧米の統計では中高年者の数%に認められます. わが国の正確な統計はありませんが, 米国の数分の一, すなわち中高年者の1%程度に閉塞性動脈硬化症があると推定されています.
ISSN:0586-4488