4.水俣病の歴史的考察

水俣病は, 化学工場から海や河川に排出されたメチル水銀化合物を, 魚介類が直接エラや腸管から吸収して, あるいは食物連鎖を通じて体内に高濃度に蓄積し, これを日常的に多量に食した住民の中に発生した中毒性の中枢神経疾患である. 熊本水俣病患者の認定は, 法律に基づき熊本県知事及び鹿児島県知事により行われ, 両県知事により認定された水俣病患者は平成11(1999)年11月末までに2,263人に上っている. 水俣病の発生が報告されてから40年以上が経ち, 同月末の生存患者数は895人である. 水俣病は, 患者の生命と健康に重大な被害を与えただけでなく, 患者家族の生活, 地域の自然環境人間関係経済活...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 46; no. 6; p. 240
Main Author 二塚信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 20.11.2004
公益社団法人日本産業衛生学会
Japan Society for Occupational Health
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ISSN1341-0725

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Summary:水俣病は, 化学工場から海や河川に排出されたメチル水銀化合物を, 魚介類が直接エラや腸管から吸収して, あるいは食物連鎖を通じて体内に高濃度に蓄積し, これを日常的に多量に食した住民の中に発生した中毒性の中枢神経疾患である. 熊本水俣病患者の認定は, 法律に基づき熊本県知事及び鹿児島県知事により行われ, 両県知事により認定された水俣病患者は平成11(1999)年11月末までに2,263人に上っている. 水俣病の発生が報告されてから40年以上が経ち, 同月末の生存患者数は895人である. 水俣病は, 患者の生命と健康に重大な被害を与えただけでなく, 患者家族の生活, 地域の自然環境人間関係経済活動などに対し, 容易に回復しない深刻な被害を与えた. 本報告では, 水俣病の歴史的経過を年表の型で呈示し, 水俣病の原因究明の段階の問題点, 行政対応の問題点と教訓について考察する,
ISSN:1341-0725