10. 医学解剖実習時の気中ホルムアルデヒド濃度-第3報 夏季と冬季の比較

医学部での解剖学実習時の気中ホルムアルデヒド(HCHO)濃度は高く, 教育に従事する教職員にとっても, 実習を受ける学生にとっても好ましい環境とはいえない. われわれは, 解剖学実習時の室内HCHO濃度と個人曝露濃度について比較検討した. 室内濃度, 個人曝露濃度測定は, Sep Pak Xposureを捕集材として用い, 高速液体クロマトグラフ法により分析した. 夏季, 冬季いずれも, 実習開始とともに急激な濃度の上昇がみられ, 開始後30~90分間に, 夏季では3,000~5000μg/m3, 冬季では1,500~2,500μg/m3の高濃度に達したまま定常状態となる状況が観察された. 幾...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 48; no. 1; p. 47
Main Authors 須那滋, 一原由美子, 浅川冨美雪, 鈴江毅, 万波俊文, 實成文彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 20.01.2006
公益社団法人日本産業衛生学会
Japan Society for Occupational Health
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ISSN1341-0725

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Summary:医学部での解剖学実習時の気中ホルムアルデヒド(HCHO)濃度は高く, 教育に従事する教職員にとっても, 実習を受ける学生にとっても好ましい環境とはいえない. われわれは, 解剖学実習時の室内HCHO濃度と個人曝露濃度について比較検討した. 室内濃度, 個人曝露濃度測定は, Sep Pak Xposureを捕集材として用い, 高速液体クロマトグラフ法により分析した. 夏季, 冬季いずれも, 実習開始とともに急激な濃度の上昇がみられ, 開始後30~90分間に, 夏季では3,000~5000μg/m3, 冬季では1,500~2,500μg/m3の高濃度に達したまま定常状態となる状況が観察された. 幾何平均濃度は, 夏季, 冬季いずれも基準値をはるかに越えており, 夏季は冬季の2倍以上の濃度であった. 幾何標準偏差は2以下であり, 室内全体がほぼ均等な濃度分布であった. これらの結果から, 排気装置の換気能力の不足がうかがわれた. 個人曝露濃度も, 夏季は冬季よりも高く, しかも室内濃度より高い傾向を示した.
ISSN:1341-0725