4. 進行食道癌における術前化学放射線後食道切除症例の検討
【背景】近年, 食道癌に対して化学放射線療法が積極的に施行されるようになってきたが進行癌症例では十分な効果が得られない症例もあるため, 二次的治療として食道切除を施行される機会も増えている. 【目的】進行食道癌に対する化学放射線治療後の食道切除の意義について検討する. 【対象・方法】当科で2006年8月までに経験したT3・T4症例のうち初回治療に化学放射線療法(放射線単独を含む)を選択した47例について検討を行った. また追加治療に食道切除を施行した14例ついて臨床・病理学的検討も行った. 【結果】化学放射線療法の効果判定はCR:2例, PR:28例, NC:10例, PD:7例で奏効率は63...
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Published in | 山口医学 Vol. 56; no. 4; p. 140 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
山口大学医学会
31.08.2007
Yamaguchi University Medical Association |
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ISSN | 0513-1731 |
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Summary: | 【背景】近年, 食道癌に対して化学放射線療法が積極的に施行されるようになってきたが進行癌症例では十分な効果が得られない症例もあるため, 二次的治療として食道切除を施行される機会も増えている. 【目的】進行食道癌に対する化学放射線治療後の食道切除の意義について検討する. 【対象・方法】当科で2006年8月までに経験したT3・T4症例のうち初回治療に化学放射線療法(放射線単独を含む)を選択した47例について検討を行った. また追加治療に食道切除を施行した14例ついて臨床・病理学的検討も行った. 【結果】化学放射線療法の効果判定はCR:2例, PR:28例, NC:10例, PD:7例で奏効率は63.8%であった. 予後の検討では切除群と非切除群において1年/2年生存率はそれぞれ55.0%/45.8%, 23.1%/8.8%で切除群において有意に予後の改善を認めた. 切除群を検討すると治癒切除(CurA,B)/非治癒切除(CurC)が7例/5例で, 1年生存率が83.3%/20.0%, median survival timeが2055日/273日であった. また治癒切除群の5年生存率は62.5%であった. 原発巣の病理組織学的判定はGrade1:6例, Grade2:5例, Grade3:3例であった. 治癒切除かつGrade3症例を・3例認め, その内2例に無再発生存を認めた. 【考察】化学放射線治療後の食道切除における無再発生存例は治癒切除かつ組織効果Grade3の症例であった. 治癒切除例では比較的良好な予後が期待できるが, 非治癒切除の予後は不良であった. 【結語】進行食道癌では化学放射線治療により切除が可能となる症例では, 非切除症例と比較して予後が有意に良好であった. |
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ISSN: | 0513-1731 |