農村環境問題と環境政策

「はじめに」食料・農業・農村基本法の基本的理念である農業の持続的な発展をはかるためには, 農地, 水, 担い手等の生産要素の確保と望ましい農業構造の確立を図るとともに, 農業の自然循環の維持増進を図る必要がある. そのことはまた, わが国の循環型社会への転換のうえでも重要である. 環境保全型農業の取組み 近年農業の自然循環機能の低下とともに, 農業が環境に過度の負荷を与え, 営農環境や生活環境を阻害することが懸念されている. 農水省「農業生産環境調査」(平成10年7月)により, 過去5年間の農業に由来する環境問題に関する市民からの苦情が増加したとする市町村の割合は, 「雑草の繁茂や不法投棄等に...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 50; no. suppl; pp. 186 - 187
Main Author 二塚信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農村医学会 25.03.2002
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ISSN0468-2513

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Summary:「はじめに」食料・農業・農村基本法の基本的理念である農業の持続的な発展をはかるためには, 農地, 水, 担い手等の生産要素の確保と望ましい農業構造の確立を図るとともに, 農業の自然循環の維持増進を図る必要がある. そのことはまた, わが国の循環型社会への転換のうえでも重要である. 環境保全型農業の取組み 近年農業の自然循環機能の低下とともに, 農業が環境に過度の負荷を与え, 営農環境や生活環境を阻害することが懸念されている. 農水省「農業生産環境調査」(平成10年7月)により, 過去5年間の農業に由来する環境問題に関する市民からの苦情が増加したとする市町村の割合は, 「雑草の繁茂や不法投棄等による農業景観の悪化」41.0%, 「家畜排泄物による悪臭」29.2%, 「農薬の散布」18.7%で, 地域により各種の環境問題が深刻化していることが伺える. 近年, 環境と調和のとれた持続的な農業生産の重要性が認識されるなかで, 環境保全型農業(農業のもつ自然循環機能を活かし, 生産性との調和等に留意しつつ, たい肥等の有機物の投入等による土づくり等を通じて化学肥料・農薬の使用等による環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業)に対する取組みが広がりをみせている.
ISSN:0468-2513