C-5 肺血栓塞栓症の1例

症例74歳女性. 上行結腸癌・胆石症に対する砕石位での腹腔鏡補助下回盲部切除・胆嚢摘出術施行翌日, 離床直後に突然の呼吸困難感・軽度の胸痛が出現. O2 51下でPaO2:51mmHgと著名な低酸素血症, ECG上右室負荷, 心エコー上拡張期左室圧排所見と肺高血圧を認めた. 胸部造影CTで両側肺動脈内に中枢から末梢まで血栓像を認め, 肺動脈血栓症と診断した. 深部静脈血栓症を考慮し, 一時的下大静脈フィルターを留置した. ヘパリン10000u/day開始し, 術後の出血のリスクをふまえ, 血栓溶解療法は行わず経過を観察した. 呼吸状態は徐々に改善し, 発症4日目よりワーファリンを開始し, 6日...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in山口医学 Vol. 55; no. 6; p. 206
Main Authors 日野昭宏, 野見山隆太, 矢野雅文, 山本 健, 松崎益徳, 徳久善弘, 岡 正朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 31.12.2006
Yamaguchi University Medical Association
Online AccessGet full text
ISSN0513-1731

Cover

More Information
Summary:症例74歳女性. 上行結腸癌・胆石症に対する砕石位での腹腔鏡補助下回盲部切除・胆嚢摘出術施行翌日, 離床直後に突然の呼吸困難感・軽度の胸痛が出現. O2 51下でPaO2:51mmHgと著名な低酸素血症, ECG上右室負荷, 心エコー上拡張期左室圧排所見と肺高血圧を認めた. 胸部造影CTで両側肺動脈内に中枢から末梢まで血栓像を認め, 肺動脈血栓症と診断した. 深部静脈血栓症を考慮し, 一時的下大静脈フィルターを留置した. ヘパリン10000u/day開始し, 術後の出血のリスクをふまえ, 血栓溶解療法は行わず経過を観察した. 呼吸状態は徐々に改善し, 発症4日目よりワーファリンを開始し, 6日目胸部造影CT上肺動脈内の血栓像が消失し, その後経過は良好である. 本症例は外科術後の静脈血栓塞栓症のリスクレベルとしては高リスクであり, 予防ガイドライン上は間欠的空気圧迫法が予防法となるが, 長時間の手術・手術体位・脱水など血栓リスクが高くなるようであれば, 低用量ヘパリンの投与を考慮する必要がある.
ISSN:0513-1731