13. 障害児のリハビリテーション阻害因子の検討

【はじめに】リハビリテーション阻害因子は, 障害の状況により様々な問題を生ずる. 多くの人々は表現された運動機能障害に目が向き, 人間が生きて行く基礎となる要因, 例えば栄養, 睡眠はあまり関心をひかない. 育児の基本であるこの2点につき検討した. 【対象】外来や通園で指導した50名. 年齢は0~10歳一人っ子が1/2を占めていた. 【結果】病名は脳障害児2/3, 知恵おくれ・他1/3, (1)栄養面:食事の持つ意味は, i)生きるための栄養補給, ii)食べる楽しみ(情緒面の発達), iii)口を使うことで, 呼吸訓練, 舌の訓練を通し意志の伝達(会話訓練)に役立っている. 栄養不良は「やせ...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 26; no. 5; pp. 363 - 364
Main Authors 山形恵子, 藤本輝世子, 山本恵子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.09.1989
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:【はじめに】リハビリテーション阻害因子は, 障害の状況により様々な問題を生ずる. 多くの人々は表現された運動機能障害に目が向き, 人間が生きて行く基礎となる要因, 例えば栄養, 睡眠はあまり関心をひかない. 育児の基本であるこの2点につき検討した. 【対象】外来や通園で指導した50名. 年齢は0~10歳一人っ子が1/2を占めていた. 【結果】病名は脳障害児2/3, 知恵おくれ・他1/3, (1)栄養面:食事の持つ意味は, i)生きるための栄養補給, ii)食べる楽しみ(情緒面の発達), iii)口を使うことで, 呼吸訓練, 舌の訓練を通し意志の伝達(会話訓練)に役立っている. 栄養不良は「やせ」に通じるが, 栄養失調の中には外観上肥満児もあり, 単にカウプ指数, ローレル指数だけを指数として判断できず, 運動による消費カロリー計算が重要となる. 肥満児は, 親の介助困難を生じ, 腰痛を訴える親が増えている. (2)睡眠面:脳の発達障害も要因であるが, 親の都合で夜型生活を強制される子供が多い. ピークは9時と11時にみられ, したがって朝が遅く, 7時, 8時にピークがある. 睡眠不足と食事バランス不良(朝食抜き)では, 昼間の十分な活動は期待できない. 【まとめ】リハビリテーション阻害因子を生活面から調査した. 栄養も睡眠も人間発達の基礎要因で, 今後育児, 療育指導でも更に充実させる必要がある. 質問 松江整肢学園 北原佶(座長):御発表の主旨を確認したい. (1)障害児の肥満については, 摂取カロリーが多すぎるという御指摘か? 500kcal/日にすべきということか. (2)MRIで高度脳損傷がある児を呈示されたが, 呈示された理由は何か? このような例では経口摂取を中止すべきということか. (3)障害児の睡眠リズムを確立するための方法は何か, 答 山形恵子:(1)学校(養護学校)の給食カロリーが500~600kcalに減ったのは, 運動量, 消費カロリーを検討して配慮されています. (2)抗痙剤服用児は全体の約2/3を占め, 睡眠リズムの乱れに関連あると思いますが, 親と協力し, 日中活動できるよう調整を試みています. (3)昼間起こしておくためにどうするかは問題です. けいれん発作のリスクに注意しながら, 昼間子供と遊び(刺激), 昼寝を短時間(1時間位)にし, 8~9時台に就床できる条件作りを行います. 老人の昼寝同様, 日中寝ると, 夜間覚醒を促す危険があります.
ISSN:0034-351X