4.自殺企図による下腿骨開放骨折の2例

最近統合失調症により自殺をはかり, 下腿骨下端開放骨折となり, 治療を行った2例を経験した. 症例1:39歳, 男性. 創外固定6ヵ月, 免荷装具1ヵ月, その後機能装具にて歩行訓練を行った. 10カ月後感染もなく骨癒合し, 退院した. 症例2:27歳, 女性. 創外固定3ヵ月, 免荷装具にて歩行訓練を行った. 5ヵ月後感染もなく骨癒合し, 退院した. いずれの例も暴力的な言動, 行動があった. そのような場合は薬剤の投与, 保護室隔離され, リハビリテーションは遷延した. なお, 免荷や装具固定の理解は得られた. また, 病棟では車椅子や杖は使えなかったが, 看護師による病棟外での歩行訓練も...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 42; no. 11; p. 784
Main Authors 北尾 進, 伊藤晴夫, 三宅洋之, 水野雅士, 池内一磨, 高木健太郎, 石塚真哉, 西梅 剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.2005
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:最近統合失調症により自殺をはかり, 下腿骨下端開放骨折となり, 治療を行った2例を経験した. 症例1:39歳, 男性. 創外固定6ヵ月, 免荷装具1ヵ月, その後機能装具にて歩行訓練を行った. 10カ月後感染もなく骨癒合し, 退院した. 症例2:27歳, 女性. 創外固定3ヵ月, 免荷装具にて歩行訓練を行った. 5ヵ月後感染もなく骨癒合し, 退院した. いずれの例も暴力的な言動, 行動があった. そのような場合は薬剤の投与, 保護室隔離され, リハビリテーションは遷延した. なお, 免荷や装具固定の理解は得られた. また, 病棟では車椅子や杖は使えなかったが, 看護師による病棟外での歩行訓練も合わせて行えた. その結果比較的円滑に進めることができ, 良好な結果が得られた. 統合失調症を合併した骨折患者を扱う場合は, 強固な内固定を行い, 精神科病棟での管理のもとにリハを行う必要があった. リハは経験の深い医師や理学療法士が担当し, 治療方針をていねいに伝え, 粘り強く信頼関係を築くように努力することが重要であった.
ISSN:0034-351X