BMPによるId1とOsterixの発現調節機構
【目的】骨誘導因子(BMP)は, 筋芽細胞C2C12を骨芽細胞へと分化誘導する. 筋分化の抑制にはHLH型のId1, 骨芽細胞の分化にはZnフィンガー型のOsterix(OSX)が関与すると考えられる. 本研究では, BMPによるId1とOSX遺伝子の転写調節機構を検討した. 【方法】種々の阻害剤(タンパク合成, RNA合成, MAPキナーゼ, Pl3キナーゼ)で前処理したC2C12細胞をBMP-2で刺激し, Id1とOSXの発現量を検討した. 野生型または構成的活性型のBMP受容体やSmad1を導入し, 骨芽細胞の分化誘導活性と, Id1, OSXの発現量を検討した. 【結果】BMP-2によ...
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Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 436 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
歯科基礎医学会
20.09.2002
Japanese Association for Oral Biology |
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ISSN | 0385-0137 |
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Summary: | 【目的】骨誘導因子(BMP)は, 筋芽細胞C2C12を骨芽細胞へと分化誘導する. 筋分化の抑制にはHLH型のId1, 骨芽細胞の分化にはZnフィンガー型のOsterix(OSX)が関与すると考えられる. 本研究では, BMPによるId1とOSX遺伝子の転写調節機構を検討した. 【方法】種々の阻害剤(タンパク合成, RNA合成, MAPキナーゼ, Pl3キナーゼ)で前処理したC2C12細胞をBMP-2で刺激し, Id1とOSXの発現量を検討した. 野生型または構成的活性型のBMP受容体やSmad1を導入し, 骨芽細胞の分化誘導活性と, Id1, OSXの発現量を検討した. 【結果】BMP-2による骨芽細胞への分化およびId1の発現量は, MAPキナーゼやPl3キナーゼの阻害で影響を受けなかった. BMP-2によるOSXの発現はタンパク合成やRNA合成阻害によりほぼ完全に抑制されたが, Id1の発現は逆にタンパク合成阻害で促進された. 構成的活性型のBMP受容体やSmad1は骨芽細胞の分化を誘導し, Id1レポーター遺伝子の転写活性およびOSXの発現も促進した. 【考察】本研究の結果により, BMPによる骨芽細胞の分化はSmad依存的で, 他の細胞内情報伝達系の関与は少ないことが示された. また, Id1は直接Smadによって転写が促進されるのに対し, OSXは間接的にSmadの下流で発現が促進されると考えられた. 【会員外共同研究者】今田真奈, 高田貴虎(昭和大学) |
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ISSN: | 0385-0137 |